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手紙:2021-09-10

グループ意識の拡大

時代精神とグループ化

現在、私達が試されているテーマの一つに、「グループ意識」があります。既に世の中には、様々な組織やグループ、国同士の同盟や経済グループがあり、人類は何らかの集団に関係しているか、その影響を受けています。

戦後急速に進んだこの現象は、時代精神であると同時に、地球が「正しい人間関係=知的な愛」をテーマとするアナハタ(胸)チャクラに意識を移行している為、グループ化は最重要テーマとして加速しているのです。

国同士の繋がりも、EUやアジアのTPPなど様々なグループ化が進んでおり、魂のグループ的絆は形式的には地上に投影しています。しかしその動機である意識は、残念ながら、時代が求める博愛や魂の特質である愛ではありません。各国の思惑や損得、恐怖やプライドが交錯し、衝突の問題が山積し、繋がりも壊れかかっています。魂の形だけ投影していても、意識が全く違っていれば、そのグループ生命は維持できない、あるいは違う目的の為に悪用されかねません。

大きな組織や国同士で起こっている事は、個人の生活でも同じように起こっています。私達は形式的には様々な集団に関係していますが、動機が同じとは限りません。「同床異夢」と言う諺通り、場は同じでありながら、属している理由や人間関係に対する考え方は、千差万別です。この動機の違いが問題を引き起こすのですが、それは、時代に合わない考え方の限界や壁を学ぶチャンスです。私達は、グループ意識の愛を学び始めたばかりなので、活動や問題を通じて、真のグループ意識を考える必要があるのです。今回は、グループとの関わり方を再確認し、今後の意識の拡大に役立てたいと思います。

グループ適応の範囲

自分がどれ位のグループ範囲に意識が適応しているかは、日常生活で最も意識を多く払っている対象を考えてみたらわかります。それは嫌な気分で悩んでいても、喜びと活気に満ちた意識であっても同じです。意識が囚われているからこそ、頻繁にその事を考えるので、その対象が関係している集団が、意識適応の最高であり、同時に限界の壁でもあるのです。

例えば、会社で働いていても、家族の為に働き、家族の事が気になっていれば、会社で八時間過ごしても、その人の意識は家族に属しています。あるいは会社で薬の開発に取り組んでいても、病気の人を救ってあげたいと言う動機であれば、その人は人類の救済に関係しています。中には、あらゆる場面で自分の事しか頭に浮かばない人もいるでしょう。

動機の中心にどれだけの人や生命を含んでいるか、この範囲によって、自分しか含んでいなければ利己的、多くの人や地球の命まで含んでいれば、高邁な目的と見なされます。グループの適応範囲は、体が属している場所ではなく、意識が含んでいる広さや高さで決まるのです。そう考えると、私達は集団に属していながら、心の底では自分独自の目的や損得を遂行している場合が多いのではないでしょうか。

利己的な場合、人は多くの人と一緒にいながら、周囲から分離した独自空間に住んでいます。この独自空間は、自己保存の壁でできていますが、これが習慣になっていると、人はどこに行っても自分から出ず、グループ生命と融合しません。

グループへの適応は、独自空間を破って、全体の一部として融合しながら役割を果たす意識と関係しています。そして、全体の範囲が広がると、多くの次元の生命を含むようになります。つまり、大きな集団生命への融合は、より大きな目的と相互の関係を理解する「意識拡大」そのものなのです。

独自空間の壁

全体への融合を阻む一つの要因は、私達の心の働きです。多くの人が個性的になりたい、自分の価値観や存在感を明確にしたいと願います。しかしこだわりが強く、好みや特技の範囲が決まっている心は、他のものを寄せつけず、興味を持たないので、空間として固まる傾向があります。芸術的、専門的、信念などは、個性を表現する代表的な要因ですが、多くは自己存在やこの世の現象に根ざしています。イメージは、物質力で固定され、周りと融合しない壁となり、独自空間を生み出すのです。

また、家族や特定の人を対象とした献身や愛、憎しみや嫌悪は、限られた人に引力が向いているので、物質的意識になります。一般的には美徳である愛情や尊敬なども、長く続けていると、独自空間を創る原因となるのです。

私達は有能な個性を確立すべきですが、特定の考え方や意識に囚われて、主張し続けると、魂に融合できなくなってしまいます。何故なら、魂は更に高いグループと融合していて、常に変化し続けている意識体だからです。また、魂はあらゆる関係性を理解しています。つまり、万物は何らかの関係性があるから存在している事を、深く理解しています。グループ意識とは、様々な存在が、原因の世界で関係している理解にも続くものなのです。

人は進化すれば、当然、好き嫌いや考え方は明確になりますが、それに囚われて、固定されてしまう事が問題です。私達の意識は、魂のように、物質界を照らす光の源を目指すべきであり、光に照らされた特定の範囲に固定されてはいけないのです。

豊かな生命との融合

個性が集まる世界は、常に独自空間がぶつかり合い、摩擦や分離を生みます。一方、魂の世界はより大きな融合を目指します。何故なら、魂の価値観は個人を越えた大きな目的と関係を理解しているからです。だからこそ、考え方の調整ができ、独自の物質的こだわりを捨てる事ができるのです。

私達はしばしば「霊的」「魂的」と言う概念と、個性的でこだわりの強い特性を混同してしまいます。自分が「これこそ重要、私の意義である」「これが正義と正しさだ」と大切にしている価値観が、もしかして自分を物質的に縛っている限界点なのかもしれません。そのこだわりがグループ活動を阻害したり、自分をある空間に引き止めている原因になっていないでしょうか?

人はどんな素晴らしい知識や才能も、次の大きな集団生命に入る為に、捨てなければならない時があります。この原理は、一般人も大師と呼ばれる優れた霊的先達も同様に適用されます。個性的でありながら、様々な集団に適応し、自由に才能を発揮できる。これが私達に課せられた新しい適応力、次の目標です。

自分が全体の部分であると認識する事は、個性が無くなり、存在価値が薄れる事ではありません。個性とは、進化の途上で自己統一する焦点であり、その意識焦点は、より大きな生命と融合する点に過ぎません。私達はどれだけ大きな生命と共に生きる事ができるでしょうか?その為に捨てるべきものは何でしょうか?個性的なこだわりや専門分野が、人間関係や進化の障害になっていないか、新たな気持ちで考えてみて下さい。その壁や限界点に気づき、破壊する勇気が、大きな融合への第一歩となります。人類は、障害を突破して進化する生命体です。共に前進の一歩を踏み出しましょう。

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