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手紙:2022-02-18

火の浄化

認知症の予防

2025年には65歳以上の3人に1人が認知症になると言うデータがあります。認知症を予防する方法が色々紹介されていますが、「歩きながら計算する」などの「運動と知的活動」を同時に組み合わせた方法が多く見受けられます。例えば、早足で歩きながら、100から7を順番に引き算していくと言ったものですが、これをやっていたら、絶対認知症にならないかと言えば、そんな保証はどこにもありません。

しかしこの方法には、密教的な意味が含まれています。それは人類の進化焦点が①「知性と意志」である事、そして体と知性は②「火によって浄化される」と言う事です。今回は大きな社会問題となっている認知症の予防法を通じて、私達の進化目標と、浄化する火の働きを考えていきたいと思います。

「神は土をこねて人間を創った」と言われるように、肉体は密教的には鉱物界に象徴されます。鉱物界=大地は、過去のあらゆる物や経験を、良いものも悪いものも両方吸収し、含んでいます。鉱物界にはダイヤモンドの結晶もあれば、ひどい土壌汚染もあります。宝石を見つけるのは大変ですが、土壌汚染は多く、あちこちにあります。つまり私達の肉体には、人類と自分の過去の汚染が潜在的に含まれているのです。

この汚染は土に埋まっている種のようなもので、生活習慣や環境の条件、そして考え方により、浄化されたり発芽したりします。悪い習慣や考え方によっては、悪い種が発芽し、病気が発生する事があるのです。その為、肉体は内外共々、水によって清潔に保ち、新鮮で正しい食べ物や良い習慣で、汚染を増やさない、悪い種を発芽させない事が病気予防に繋がります。

熱による浄化

肉体を浄化する方法は、水の浄化以外には、火の浄化が最も効果的です。鉱物界が火山の火で浄化されるように、体を燃やして汚染やカスを燃やしてしまうのです。それが運動による体温の上昇です。特に骨は鉱物そのものなので、運動で骨に振動を与え、熱で温める事で硬化や崩壊を防げます。この作業は、刀を造る時に、熱を加えて叩く方法と似通っています。

また運動すれば、肉体の最高器官である脳も、血液循環が良くなりリフレッシュされます。頭脳労働者が、しばしば散歩や運動を好み、仕事の効率を上げるのは、体を動かす熱で浄化し、脳の血流が良くなる事が関係しています。年齢を重ねたら、どんな優れた健康食品を採るよりも、運動する事が、全ての人にとって体の浄化に繋がるのです。

人間には、運動による熱以外に、もう一つ熱を上げる方法があります。それが知力です。人間特有の知性は、密教的には火のエネルギーに当ります。知性は、肉体の物質的な火より、遥かに強い霊的な火の力を持っているのです。人が思考し、知的に物事を考えると、霊界では太陽のような火が燃えます。この火が脳に伝達されて脳を活性化し、脳は浄化されます。そして肉体全体を効率よく支配する事に繋がっていきます。

認知症予防の「計算する」事は、真の知的活動とは言えませんが、要は「考える」「知性を使う」意識活動を表しています。運動しながら同時に頭を使うと、物質的な火と霊的な火が肉体を浄化し、活性化する意味があるのです。特に知的な火は、理知的な魂意識と脳を繋ぐ事に関係があるので、非常に重要です。これら二種類の火の組み合わせは、認知症を予防する効果があると言えるでしょう。

知性の質と方向性

さて、この方法には、「心」が焦点となっていない事に気づくでしょう。心は密教的には火ではなく、水で象徴されています。水は洗い流す浄化はできますが、火のような浄化と活性化はできません。体を動かし知性を使う事で、寧ろ水は熱せられて蒸発します。心のエネルギーは、水が温められて気化するように、火によって熱せられ、別の次元に昇華されるのが方向性です。

その時、心が喜んで参加していると、その引き上げはとても効率が良くなります。喜んでいなくても、考える事や運動など、別の事に集中していると、心が肥大する事を防げます。体や知性の火は、体の汗や霊的汗を排出するので、水の循環や入れ替えも可能です。これは大変良いリフレッシュになります。

認知症は「脳」の病気ですが、魂が関わっているので、物質的な薬だけでは根本的な治療ができません。脳は魂からの「生きる意志と知性」を受動し、体に伝達する器官です。頭頂には、魂から意志と知性が伝達される霊的生命線が繋がっています。認知症は、この線が頭から切れてしまう事で起こる病気です。その為、知的な火が消えてしまい、脳の働きが維持できなくなるのです。

このような病が多くの人を襲う事により、私達は病気の原因を考え、知的活動とはどのようなものかを考え直す時期に来ています。反対を言えば、人類の知性が発達し、長生きするようになったからこそ、知性がテーマとなり、その「」が問われる時代になったのです。知性を使うとはどう言う事か?心と知性はどう違うのか?人間が生きる意味とは何か?全ての人が病気を通じて知性の方向や質を考え、医学の研究が進む事で、この時代、驚くべき数の人が、進化を導く魂を認識するでしょう。

自分を支配する意志

さて、「運動しながら計算する」行為には、更にもう一つ意味を加える事ができます。ただ考えるだけでなく、実際に行動すると言う意味です。考えた通りの自分になるには、意志が必要です。意志はよく言われるような意地ではありません。少なくとも、医学や科学の論理的知識を知的に理解し、結果を出す活動です。そして、結果を出す為には、自分が実際行動しなければなりません。頭頂の生きる意志を繋ぎとめるには、考えた通りの自分になるような努力、向上する為の自己訓練が必要になるのです。

年を取ると、体を動かす事や新しいチャレンジが億劫になり、意志が強くなければ、目的に向かって活動を続ける事はできません。また意志は、バラバラな体や心を一つに統一して、同じ方向に協力させる力です。つまり目的に向かって、全次元の物質を総動員させる力が意志なのです。これを訓練する為には、実際行動する必要があり、目的を明確にして活動する訓練を課さなければなりません(スポーツ選手のように、過度な運動をすると言う意味ではありません)。

意志は、アイディアを何らかの形で実際に表現する事で完結します。密教的には、肉体まで参加させると、鉱物界まで理知性の火が伝わり、洗練された形になると言う意味があります。健康維持では「運動」と表現されていますが、これは「行動」「表現」と置き換える事ができます。私達は結果ばかりを重んじますが、何かを考え、何らかの形で表現している間に、知性の火が人格を燃焼させている事に意味があります。結果が思い通りではなくても、そのプロセスの変化に、もっと重大な意味があるのです。

愛の火

人は生きている限り、変化する為に自己訓練を続けられたら最高でしょう。目的に向かう意志が、魂と頭を繋ぐ糸をしっかり維持する鍵となります。その為には、若い頃には大いに野心を持って、意欲的に生きるべきだと思います。その間に知性と意志が強まれば、やがて人類として、「人道主義、博愛、平等、正しい人間関係の樹立」など、魂が望む愛の方向に目覚める事が可能です。これを「愛の火」と呼びます。愛の火は、より高い次元と繋がる為、利己主義による単独の知性より、遥かに強い威力を持っています。

私達が、個人的な病気予防と言う目的に留まらず、自己訓練の目標が、人類への愛であれば、魂の火は、私達の頭頂から遠ざかる事は少なくなるでしょう。その為には、心の優しさに加え、愛を行動で表す為に、どんな活動ができるかを考えてみましょう。大きな事はできなくても、知性と愛の火が燃え続ける事が重要です。

その効果は個人の健康を実現するだけでなく、周囲の環境や接する人達までも、活気づけ、健康にするでしょう。深刻な病である認知症を理解する事から、人類は本来の使命を認識する事が可能です。その時、愛の火は、人と人を繋ぎ、地球を覆い、何者もその広がりを止める事ができないと発見するでしょう。

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