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手紙:2022-07-08

引力と進化

斥力と分離

今年(2016)の6月、7月は、世界で大きな出来事が連続して起こっています。人類の次の百年がどうなるか、その方向がほぼ決まってしまうのは、2017年です。イギリスのEU離脱は世界に大きなショックを与えました。民族の独立運動は、世界中で続いている問題ですが、大きな融合を目指す組織からの大国の離脱なので、今後どのような方向に進むか、世界中が注視しています。

世界の出来事、そして個人の行動には、意識に従った「引力」と「斥力」の法則が働いています。独立運動や離脱は、周囲に対する斥力が働いた結果です。今回は人類全体と個人の行動を、引力と斥力の作用から考え、進化に必要な識別や生き方に活かしていきたいと思います。

自立、独立、分離は、物質特有の「斥力」が働いた結果です。物質の構造は一塊の存在が、隔壁で周囲を囲み、他と区別して自分を守っています。壁が厚く、中の振動が強ければ、他の存在に反発し、分離や区別が強くなります。斥力は存在を維持したり、完成させる為の重要な働きです。

この作用は、人間に当てはめると、自意識を強めて人格を成熟させたり、維持するのに役立ちます。例えば、思春期に自己確立する為、反抗的で批判的、自己主張する時に、斥力は強くなります。親から自立して、他の人と違う自己存在の壁を強化する為です。当然、分離的で利己的になりますが、その間に内部が成長して、自分の考え方、好み、才能や価値観が築かれ、個人の振動が高まるのです。斥力は、物質や人の振動率を高め、その特質や働きを明確にする「メンタル的な自立」を促進しているのです。

水平と垂直の引力

一方、世界では今、引力=愛が進化しようとしています。これは魂的な法則で、分離した物質同士を引き寄せ関係を持たせ、更に進化の方向=魂的な目標へと意識を引き付けます。引力は、横と縦の二方向に働きます。存在同士を繋げる引力は、分離している人や物質を繋いで、グループとしてまとめ、より大きな形態を創造します。組織を維持する横の引力は、いわば水平線状の愛の力です。

では、縦の引力とは何でしょうか?グループをまとめる目的や思想などが、人道主義、人類の平等性、協働、協力に基づいているなら、グループ全体は、垂直方向の引力に引き付けられていると言えます。縦の引力は、全体を進化に導く意識の方向を示す愛なのです。水平と垂直の両方に繋がる引力は、十字架で象徴されます。愛とはこのように、横と縦のラインで様々なものを結びつけ、進化に向かう大きな組織を創造するのです。

人は本来、自分以外の人、グループ、現象に興味を持ち、良く知って繋がろうとする意識を持ちます。これは愛の水平的働きです。同時に神を求めたり、より良い生き方、善意、意識の向上を図る意識もあり、愛の垂直的方向に引きつけられます。

斥力の法則は、分離、分裂を促進し、それぞれの物質が完成するのを助けます。一方、引力の法則は、現在人類のテーマである法則で、人類全体が同胞で一つの種族である事を自覚するよう促しています。斥力は悪いものではなく、物質の進化を促す法則です。何故なら、斥力で成熟した物質や人が引力で繫がり、より大きな融合を生み出して、世界は進化しているからです。どちらも重要な役割と言えるでしょう。

意識の斥力と引力

それでは、個人と言う小さな世界を考えてみましょう。私達の人格は物質として、常に斥力が働いています。無意識に生きていると、周囲の刺激に対して、自己防衛、攻撃、批判、排除、利己的な支配、分離的な行動を取ってしまいます。斥力だけなら、その先には自己顕示と孤立しかありません。個人がある程度成熟した時には、斥力を長く続けていると、隔壁の壁が厚くなり、エネルギーが他と交流しなくなるので、霊的孤立を引き起こします。やがて力が枯渇し、活動は不活発になり、終わりを迎えるでしょう。

だからこそ、人は好奇心と興味を持ち、異質で違う人や現象に関係を持ち、飛び込むチヤレンジをするのです。そして自分の誇示より大きな価値を理解すると、自分の壁を突破して変えたり、才能を高める必要を感じるようになります。このプロセスは、より広く高い次元の目的に引力を感じ、個人=物質が適応していく道筋です。エネルギーが交流する為には、人ではなく「自分の壁」を壊し、中の構造も新しいエネルギーを取り入れて、変えなければいけません。

斥力の限界を感じ、壁を突破して新たな融合に適応する、この時人は苦痛や恐怖を感じるかもしれません。しかし適応すれば、より大きな喜びや希望を感じ、もっと大きな命を実感できるでしょう。「殻を破る」と言う表現がありますが、人間の素晴らしさは、自ら意識の壁を発見して壊し、より大きなものに融合する愛が働く事です。人は斥力と引力を、交互に使って、確実に魂へと近づいていくでしょう。

違いを正しく認識する

さて、効果的に融合し、新しい創造を成す為には、自分と相手の違いや共通点、特徴を正しく認識する必要があります。日本で言われてきた「和」の精神は、主に心のレベルの融合です。しかし、今私達が目指している融合は、メンタル的な次元の融合です。その為、それぞれの違いを正しく認識しつつ、才能や表現が違うからこそ、働きを分担し、より大きなエネルギーを生み出す事を目指す必要があるのです。正しい配置、役割分担、相互の助け合いは、分離的な個々を正しく観察し、利点や欠点を把握する認識が必要なのです。

皮肉にも、大きな融合には、分離的で批判的なメンタル活動が生み出す客観的なデータ、知識、分析が必要です。何故なら、私達は理知的な愛が未熟なので、完璧な融合は中々できず、必ず問題点を抱え、どこかで妥協しなければならないからです。今人類が立ち向かっている問題は、愛の雰囲気だけでは到底解決ができません。認めるのが嫌でも、面倒でも、問題点を明確にし、危機にさらされ、改善を重ねて妥協する、これを段階的に繰り返さなければなりません。そしてもし、愛の見解が欠け、対立や分裂が続けば、やがて破壊と終焉しか生まない事を、徹底的に理解しなければならないでしょう。

どんな個人も組織も、一定の期間斥力=反発によって守られた形は、新たなエネルギーを取り入れる為に、破壊される事になります。そのきっかけは、病気や事件など、人間関係の問題から始まります。斥力が働いた時、その現象だけを見るのではなく、元の意識を理解する事が大切です。そして、新しい融合を生み出す妨げを特定し、勇気をもって壁を取り除かなければいけません。

愛の勝利

今、私達は個人として、人類として、どこに立っているでしょうか。引力と斥力の法則は、世界でどう働いているでしょうか?一人一人が人生を振り返り、同時に人類として世界を考え、この観点から生き方を検討してみましょう。より大きな融合を生み出せるか、どちらの法則を、どの場面でどう使うか、私達は選択の岐路に立っているのです。

私達は魂のアイディアに沿う思想を見つけ、同胞や賛同する国と協力を広げていかなければなりません。それは当然、魂意識の自由な表現を妨げる人や国に対して、斥力を生む事になるでしょう。しかし、その闘い方は、斥力を使って相手を滅ぼすのではなく、人々が愛に目覚めた時、魂を慕う人を受け入れる強い受け皿を準備する方法です。その繫がりの愛が強ければ、可能性がある人々の意識を目覚めさせ、引き付ける強力な引力を発するでしょう。その素晴らしい兆しは、新しい周期に向かって、今実際に働いているのです。

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