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手紙:2022-10-21

人類が紡ぐ意識の糸

加齢と不安

皆さんは、次のような言葉を耳にした事はありませんか?「若い頃は結婚式や出産で、めでたい行事が多かったのに、最近は病気のお見舞いや葬式ばかりで気が滅入ります」。自分が年を取ると、当然周囲の人も年を取ります。特に60歳前後からは、体力が衰え、命に関わるような病気が多くなるものです。その様子を見聞きしていると、自分の体にも不安を覚え、体調に過敏になり、心配が募る事もあるでしょう。また、仕事も引退の時期で、人間関係も少なくなり変化します。家族内でも、子供は自立し、夫婦もそれぞれの道を歩んでいて、急に孤独を感じたり、気弱になる事もあるでしょう。

このような不安や恐怖は、年齢と関係なく、何かのきっかけで、いつかは誰もが感じるものです。その時、どのように考え、どう行動するかは、それまでの生き方が大きく関係します。更に、その決断は次の転生にも続く意識の岐路とも言えるでしょう。

孤独と病気、この二つは恐怖を増幅させ、悪い想像力を掻き立てます。私達は不安を払拭しようと、自分を守る方法をあれこれ考え、その為に右往左往するものです。しかし、生きる目的が自分の安心や、病気を避ける事だけになると、益々意識は自己保存に集中してしまいます。

長生きすると、誰もが一度は不安に陥るものですが、不安を無くすあの手この手の「方法」は、ある程度効果があっても、根本的で持続的な解決にはなりません。今回は、加齢と共に感じる不安について、根本的な原因や構造と共に、克服の原理について考えてみたいと思います。

魂が精査する事柄

60歳は、人生において特別な意味があります。何故なら、魂がその先の人生を続けるかどうか、精査する年だからです。精査する要素は、主に人格が更に進化する可能性があるか、どんな環境や人に繋がっているかです。魂は、長生きする事が目的ではなく、意識の変化と奉仕する環境を見ているので、もし使命を充分果たし終えたり、意識の限界が来ていれば、一旦引き上げて新たな計画を立て、生まれ変わる事を選択します。死ぬ事は、悪い事ではなく、魂進化の効率に関係しています。

では、魂が判断する人格の進化とは、具体的にどう言うものでしょうか。一つは「人格を考えて変える力」がまだあるかどうかです。そして繋がっている人と環境とは、たとえその人自身の意識が変化しなくても、奉仕する先がある事が重要です。

例えば、60歳前は、今までの生活習慣と意識活動の積み重ねから、病気になる場合があります。その時、考え方や習慣を変え、肉体も治療して持ち堪えられたら、人生が続きます。更に、病気で学んだ事を、周囲と分かち合う事ができれば、大きな奉仕もできるでしょう。また、病気にならなくても、引退後、自分の意志で学ぶ場や人間関係を決め、違う適応力や能力を発揮できれば、健康は維持され、人生は続くでしょう。理想や目的は、健康を決める大きな要素で、その為に考えて自分を変えたり、貢献する環境に繋がっている事が重要なのです。

病気や問題を避けて自分を守り、活動を制限すると、意識の変化が無くなります。人は時として、自分を守り過ぎて殻の中に入ってしまい、反対に魂から守られない方法を選択してしまう事があるのです。

より糸のように編まれる意識

健康とは、意識と実際活動の結果です。意識こそが健康の鍵を握っているのですが、その意識を与えているのが魂です。つまり、魂との繋がり方の結果が、健康状態を決めると言っても過言ではありません。

ここで健康や環境を創造する意識の性質を学んでみましょう。意識は、見えない糸のような様態で、向けた方向に引力を伸ばして繋がる性質があります。次に、実際活動する事で、対象と自分の間にエネルギーが流れ、糸は編まれるように太く強くなっていきます。私達は生まれてから死ぬまで、毎日意識を働かせ、活動しているので、四六時中何かの糸を編み続けているのです。毎日の意識活動と実際活動で細い糸が寄り集まり、意識を最も頻繁に長く向けた先に、太いロープのように繋がります。

ですから、些細な意識でも毎日積み重ねると、糸は太くなり、向けた対象と密接に繫がります。良くないものでも、魂のような崇高な存在であっても同じ原理で繫がり、エネルギーや情報が交流し、その影響で自分自身も創造されていきます。病気を恐れ、自分を守り、恐怖を考えていれば、皮肉な事に、毎日思う事で、ロープは避けようとしている病気や恐怖の対象に繋がってしまいます。自分の事ばかりを考えると、ロープは自分に絡まり、動けない程がんじがらめになるでしょう。

年を取ると、誰でも肉体が弱るので、良くも悪くも、意識の状態が健康に直接反映され易くなります。だからこそ、健康状態から意識を理解し、直す事もできるのです。つまり、人生の終盤、不安や恐怖が募ってきた時こそ、本当に考える力、自分を支配する意志力を発揮し易いとも言えるでしょう。

より糸を辿って魂に帰る

人は生まれる時、魂と人格は細い糸で繋がっていますが、これを強化してロープのように太くするのは、私達の人生目標です。魂と繋がり続ける為には、魂がそうであるように、自分の事のみならず、生命全体や人類の進化を考えたり、仲間や自然界を助ける奉仕を心掛けなければいけません。その繋がりを強化し、高度なエネルギーを魂から引き出すのが瞑想です。目的の方法が正しく、行動も伴えば、瞑想は、自分と環境を支配する力や知恵を与えてくれるでしょう。

さて、魂と繋がる「より糸」を太くするには、魔法のような方法はありません。毎日、意識を光に向け、良き事を考え、実行する積み重ねが、唯一の方法です。そして、このロープを流れる光によって、人は才能を開花させる事ができます。才能とは、その人が着る服のようなもので、これも魂からのエネルギーが主体となって、編まれていきます。ある人は、様々な努力によって布を織り、何着もの服を創るでしょう。ある人は、一枚の服に最高の工夫を凝らし、唯一無二の素晴らしい服を仕上げるでしょう。この服は、魂の光とこの世の正しい努力によって創造されるので、簡単にできるものではありません。素材を選び、デザインを考え、緻密に機を織る作業を何年も続ける必要があります。

更に、このより糸は、人が死ぬ時にも重要な役割を果たします。私達は、死と共に、織った服を脱ぎ、魂に続くより糸を頼りに、魂へと帰って行きます。どんな素晴らしい才能の服を織っても、それは地上に贈り物として置いていくのが法則です。何故なら、才能とは魂が地球に与える為に贈ったもので、自分のものではないからです。

また、魂に通じるより糸は、自分の為だけに創造するのではありません。このロープは、人類が共同で編む虹色の創造物と呼ばれ、全人類が協同で作り続けている建造物です。毎日繰り返し編んだ糸、何回も転生し繋いだ糸は、見えない世界では、壮大な美と力になって、人類の未来を創造し続けているのです。

意識で創造される「魂に繋がるより糸」は、老化や病気など様々な困難があっても、理想や夢を描き続けた勇気ある人達によって、作られてきたものです。もし、私達が自分を不必要に守る事をやめ、あらゆる恐怖や困難をものともせずに光の扉を開けたなら、そこには真の健康を与える虹のより糸が見えるはずです。

体力が衰え、老化したからこそ、意識の大切さを実感できるものです。自分を守る事より、多くの仲間と共に、意識の糸を紡ぐ重要性を理解すれば、真に価値ある挑戦に目覚める事ができるでしょう。

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