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手紙:2023-12-15

挑戦と質

チャレンジとリスク

投資の世界で、日本とアメリカの違いを例えた話があります。「10%の成功率でも投資するのがアメリカ。しないのが日本」。これは可能性にかけるか、リスクを重んじるかの違いを表しています。政治の世界でも、日本は何かを変える事に大きな抵抗があり、欧米から、保守的で物事を変えにくいと指摘されています。

投資や政治は大きな話ですが、個人の生活ではどうでしょうか。年齢を重ねると、10%どころか、成功率が半々だとわかっている事でも、消極的になってしまうのではないでしょうか。また、自分では積極的にチャレンジしていると思っていても、魂から見ると、そうでもない場合があります。そこには、挑戦する意識の方向性と、その「質」が関っています。今回は「挑戦とは何か」、そしてその質について、考えてみたいと思います。

神社仏閣の願い事で、「何事もなく平穏無事」の現状維持を願う人は多いでしょう。私達はそれ程変化を恐れるものです。ましてや、自分で変化を起こす挑戦とは、相当の覚悟が必要です。現状を壊し、更に未来の結果が確実にこうなると言い切れないからです。

しかし、挑戦が苦手な理由は、結果だけでなく、変化に対する意識が大きく関っています。挑戦と言うからには、今ある能力以上のものを身につける為、自分の構造をどこか直したり努力しないといけません。新しいものを取り入れ、構造を変える、習慣を修正するなどの訓練が必要になるので、それを考えただけで面倒だと感じます。つまり、私達は結果より先に、現状を維持できない事に、大きな抵抗を感じるのです。

心と知性の役割

人格の中には、体、心、知性の意識があります。その中でも、体と心は物事を維持し、安全や楽しさを求める為、状態を変えたり、リスクを負うような事を好みません。また、心は体の自己保存本能と一体化しているので、忙しい活動や変化には危険を感じ、恐怖や心配を覚えます。

一方、知性の大きな特徴はプライドです。もし失敗して、自分に能力が無いとわかったら、批判されたら、あるいは評価されなかったら…など、自尊心が傷つく事を恐れます。心も知性も、今に不足がなければ、あえて危険があるような事は避けるのが自然でしょう。

では、進化の観点から考えると、心と知性は本来どのような役割を果たすべきものなのでしょうか。以前習ったように「心は水」、「知性は火」で象徴される性質を持っています。心は、様々な物や人に水のように浸透する、つまり接触し、考え方や活動のきっかけを作ります。知性は、方向を決め、それに合った方法を選ぶ役割があります。また、目的に向かって知性自身を高め、心や体を従えて引っ張っていく積極的な性質が備わっています。

ここで、知性の火が、重要な霊的変化を起こします。それは心の水を温め、蒸発させ変化させる事です。知性が「その人にとっての進化」を目指し、心と体を同じ方向に向けると、心の水は知性の火で温められ、蒸発し、次元を変えて上昇していきます。体も振動率が速くなり、活気が与えられます。

進化の過程では、心の水を熱して蒸発させ、別の次元に移行させなければいけません。目的や分野が何であっても、この霊的科学反応を起こす事が、挑戦の要素には不可欠なのです。

質的変化が重要

挑戦する時、知性の役割は、大変重要です。正しい方向を選び、心と体をその方向に向かせ、共に燃えるよう躾けないといけないからです。その過程で、心の水が蒸発し、質的変化が起こる行為は、どんな事でも挑戦と呼べます。反対を言えば、どんなに忙しく活動しても、火の化学変化が起こっていなければ、挑戦とは呼べません。また、進化にとって、正しい方向を選ばないと、心の水はかえって増えてしまい、欲望と感覚に溺れる事態となります。

この霊的化学変化によって、人格の構造や構成要素が変わり、進化が進みます。結果の規模は、関係ありません。少しでも完全に火が燃えて、一部分でも変化すれば、変化は全体に影響を与えます。この事実を本能的に知っているので、体と心と知性は、必死で抵抗するのです。反対を言えば、このような抵抗が起きないものは、大した挑戦ではない、あるいは方向が間違った挑戦だとも言えるでしょう。この点を考えると、何の為に、どのような価値で挑戦するのか、質こそ検討すべきものだとわかってきます。

元々、物質界とは変化する世界です。一つとして同じものや同じ状況は続きません。また相互に作用し合うので、どこかの変化は周囲に影響し、全体が変化していきます。相互に広く関係し、時間が早く進む現代社会では、変化が絶え間無く起こります。自分が望まなくても、刻々と変わる事態への対処で、多くの人が挑戦せざるを得なくなっています。私達はストレスを受けて苦しみますが、霊的に起こっている真の出来事とは、火による化学変化の訓練なのです。

魂は挑戦する

元々、「挑戦する意識」とはどこからやってきたのでしょうか。それは魂です。魂は、物質界に知性の火を与える為に、自分の意志で転生を始めました。その挑戦を担うのが、まさに私達人間です。私達の中には、挑戦する魂と、それを受け入れなければならない人格と言う二つの意識が生きているのです。それは、火を与える積極的魂の意識と、変化を嫌う物質の消極的意識とも言えるでしょう。私達は、挑戦する事の素晴らしさを知っていますが、それを嫌がる怠惰性や恐怖が、自分の中にある事も知っています。常に二つの世界があり、二つの意識が葛藤している、それが人間の本質とも言えるでしょう。

私達が挑戦を諦めてしまう理由は、物質的な条件や結果のせいだけではありません。その理由は意識の中にあり、葛藤をやめてしまう、あるいは怠惰性が勝つ、つまり物質の意識に負けてしまうからです。また、結果は重要ですが、もっと大切な事は、その過程でどれだけ火が燃えて、水が蒸発し、意識が変わったかと言う事です。どんなに結果が思い通りになったとしても、火による変化が起こらなければ、魂は余り注目しないでしょう。

新年の幕開け

知性が発達した現代人である私達は、チャレンジする時、数多く活動するより、何の為に、どんな価値で挑戦するのかと言う質を考えるべきです。この価値観がわかれば、日常生活の中でも、挑戦できる事は沢山あると発見できるでしょう。

さて、魂が最初にチャレンジするのは、自分と言う物質界です。私達が生まれる時、魂は最高の光を集中して肉体と意識を繋ぎます。その光を宿しているのが私達一人一人であり、その光を覆っているのも自分です。真の挑戦とは、意識の火で、変化を嫌う物質の覆いを燃やし、光が浸透し易く変えていく事です。ですから、小さな目標、少しの変化であっても、火が燃えて光が流れ入れば、たった一筋であっても、素晴らしい変化と言えるでしょう。そのような小さなチヤレンジを続ける人は、年を重ねたからこそ、意識の素晴らしさとして示す事ができます。

新しい年に相応しい挑戦とは何でしょうか。どんな形であっても、自分の中に、新しい光の道を一筋作る事です。魂の本質は、決して挑戦を諦めない事です。輝かしい新年の幕開けは、光を求める愛と、挑戦する意志によって、全ての人に訪れるでしょう。

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