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手紙:2024-01-26

思い込みからの解放

人は考えた通りのものになる

皆さんは、自分は思い込みの激しい方だと思いますか?いやいや、私は論理的に考え、必ず情報を確かめる方だと言う方は多いでしょう。お酒の好きな人が、アルコールの入っていない飲み物でも酔い始める事や、小麦粉を薬だと言って飲むと効く事や、写真は魂を吸い取ると信じていた人が、撮影されて本当に死んでしまった話など、良くも悪くも、思い込みが体にもたらす影響は大きなものです。間違っていても、思い込みであっても、「人は自らが考えた通りのものになる」と言う法則があるからです。しかし私達は、物や人、情報など、外の対象ばかりを気にして、そう捉えた自分の意識に問題がある事には気づきにくいものです。

最近では、電磁場や電波を恐れる恐怖症の人がいます。あらゆる電化製品から遠ざかり、山の中に住み、不自由な生活をする人もいます。電波障害や停電を起こすオーロラは、自然のものだからと言って恐れませんが、家の中にある電子レンジを恐れるのです。

若い頃は、思い込みから信念を持ったり、闘ったりし、色々な経験を積んで成長するものです。そう考えると、思い込みは全て悪いと言う訳ではありません。そもそも、どんなに賢く優れた人でも、魂の理知性が人格を完全支配するまで、人は何らかの思い込みで生きていると言えます。しかし、人の成長には、意識の拡大が必要です。人生の意義は、思い込みに気づき、そこから脱出して意識が自由に拡大する事です。意識の進化とは、数々の視野狭窄や固定観念から、解放される道筋とも言えるでしょう。今回は、どうしたら思い込みに気づき、意識が解放されるか、考えてみたいと思います。

まずは気づきから

思い込みは、ある特定の立場の見方や、少ない情報で結論づけられ、起こります。またそう思いたいと言う願望があると、都合の良い似かよった意見を集めて正当化する事は多いものです。人は断定し、結論づけると、それ以上考えたり迷ったりする必要がなくなるので、ある意味、その考えに依存し、安心するのです。では、私達はどんな時、それが思い込みであると気づくのでしょうか。

一つは、思い込みに基づいて徹底的に行動し、結果が出た場合です。考えていたような結果ではなかったり、期待したように感じなかった時、自分の考えに疑問が湧いてきます。この「疑問が、新たな思考のきっかけになり、突破口を開く重要な鍵となります。

また、家庭から社会に出る、外国に行く、仕事が変わる、若い世代と付き合うなど、環境が変わったり、新しい人間関係の交流が始まると、全く違う考えに触れるチャンスがあります。自分の常識を覆されて驚き、反対に何故そう思うかと質問される事もあります。そのなって初めて、今までよく考えていなかった事や、ある時から考えるのを止めた自分に気づかされるでしょう。異質な考え、多種多様な考え、新しい考えに触れ、自分を縛っていた観念に気づくのです。

思い込みは、どんな事であっても、そこで考えを止めてしまった事から始まります。思い込みを指摘された時も、人に言われたからではなく、自分で考え、探り、どこで、何故考えが止まったのかを発見し、理解する事が重要です。どんな小さな事でも、自分で考えて気づく事が、意識拡大への第一歩となります。

二人の住人

そう気づいた後、人は二つのタイプに分かれます。思い込みの発見に素直に驚きを覚え、喜んで解放される人と、そうわかっても今までの考えに固執する人です。喜んでやめる人は、意識の進化に喜びを覚える人です。固執する人は、間違いを認めたくない、それまでの生活や時間が無駄になるような無力感、習慣を変えたくない怠惰性、あるいは単純に気に入らないなど、理由は何であれ、思い込みから意識が離れない人です。

もし抵抗する意識が起こり、葛藤を覚えた場合、二種類の意識が働いている事を理解しましょう。一つは、固める退化意識です。これは肉体や習慣を自動的に維持する物質特有の意識で、人格を中心に働いています。もう一つは、限界を突破して進化する意識です。これは人格の意識を引き上げて、高みに向かわせる魂の意識です。変えたくない、できないと抵抗するのは、理由を問わず、止めて固める退化意識です。

人間の進化とは、魂の「考える理性」を、人格の中に深く浸透させる事です。魂的な意識は、人格にとって、異質なエネルギーです。ある意味、習慣が全く違う外国人を、「人格と言う家」に住まわせるようなものです。最初、家の住人は、一緒に住んでいるのに、外国人を無視し続け、聴く耳を持たず、自分のペースを守ろうとするでしょう。しかし、次第にずっと一緒に住まなければならないと気づき、話をするようになり、ようやくその外国人の能力を理解します。非常に頭が良く、自分にとって大変メリットがある素晴らしい助言をするとわかるのです。やがて月日が経ち、家の住人は、習慣や住み方、考え方が全く変わってしまい、最後は二つの意識は融合するのが宿命です。

固定観念の背後にある意識

こうでなければならない、あれが正しい、それは私には合わない、間違っているなどの断定は、右であっても左であっても、進化しなければ、霊的には間違いです。私達の思い込みは、殆ど同じ次元の中の左右の違いです。生活する上で、便宜上必要ではありますが、強く思い込む事で弊害が生まれます。魂のアドバイスとは、考えが固定されている次元から、意識を引き上げる事です。そして、意識の引き上げは、延々と続くもので、留まった途端に固定観念が生まれるのです。

さて、私達が、一つの思い込みに気づいたとしましょう。その発見を一歩進めると、もっと大きな発見ができます。そう思い込んだ自分の意識傾向を掴む事です。一つの思い込みの背後には、根本的な傾向意識があります。そこを掴むと、他にも同様の固定観念が発見でき、一度に複数の思い込みから解放される事もあります。

反対に、思い込みを一つやめても、自分の意識を理解していなければ、表面的な変化しか起こらないかもしれません。大事な事は、考える事です。自分を縛っている意識とは何か、どこで意識が止まっていたかを発見する事に意味があるのです。その努力を積み重ねていると、今度は周囲の人の思い込みを発見し、解放する手助けができるでしょう。これこそ、大いなる奉仕だと言えるのです。

元々魂とは、異質なものに接触し、理解し、進化に向かわせるエネルギーです。考えが決まってしまい、自分に満足し、何も疑問に思わなくなったら、人は安心し幸せと感じるかもしれません。しかし魂にとっては、その時が最大の危機と言えるでしょう。自分の意識が留まっていないか、断定して固まっていないか、他の世代や世界の人々の考えに無関心になっていないか?点検すべきものは、いくらでもあるでしょう。

私達は、意識が活発なら、何歳でも古い考えを破壊し、自由になる事ができます。真の奉仕とは、破壊が伴うと言いますが、意識を解放する手伝いこそ、素晴らしい奉仕と言えるのではないでしょうか。自分にできた事は、深い理解と共に、求める人への手伝いができるはずです。その積み重ねで、人は年と共に、知恵のある人へと変貌していくでしょう。

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