最近、世界の海で、大変身近なプラスチックのゴミが大問題になっています。血を吐いて打ち上げられたクジラの胃の中から、四十キロものプラスチックゴミが発見されました。「プラスチックとダイヤモンドは永遠」と言う皮肉が生まれたように、プラスチックは、細かく砕かれても分解されず、海の塩と共に、既に私達の体内に入ってきています。原子力発電所の後始末も含め、今、人類が直面する大問題の1つは、環境問題です。

人類の為にも、海の生態系の為にも、何とかしなければならないとわかっていても、まだ効果的な対処はなく、ゴミ問題は増え続けています。また、科学者が将来大変な事になると訴えても、人も国家も、経済を優先し、環境問題は後回しになりがちで、真剣に取り組もうとはしていません。一体、それはどうしてでしょうか。環境問題を根本的に解決するには、何が必要なのでしょうか。プラスチック製品を排除し、原子力発電所を止める、ゴミになるものを全て避ける事で、問題は解決するでしょうか。今回は、環境問題の表す意味を考え、私達の進むべき道を考えたいと思います。

密教的に、「ゴミ」は利己主義の表れと言われています。私達の欲望が暴走し、地球の資源を利己的に扱った結果として出てくるものです。これに対しては、省エネ運動が既に起こっていて、資源のリサイクルや、エネルギーの節約が実行されています。しかし、その運動だけでは追いつかず、ゴミはどんどん増えて、海、山、河川、土壌、空気を汚染し続けています。経済の発展を優先し、環境汚染を無視している国は後を絶たない今、真に効果的な解決とは、一体どのようなものでしょうか。

人類の能力と文明の発達は素晴らしいものです。この知性は紛れもなく地球から与えられたプレゼントでしょう。しかし知性が高くなっても、愛が育たなければ、環境はこのままずっと汚染され続けます。私達は、地球から与えられた知性の使い方を間違い、欲望を追究する為に使ってしまっています。

地球の資源を勝手に使い、後始末しないような文明は、方向転換する必要があります。過去において、警告を与えられたにもかかわらず、方向を改めなかった利己的な文明は、地球の決定によって、滅びています。私達も、自分の体内で汚染を生み続ける部位があり、全体の命に影響が出る場合は、取り除く決定を下すでしょう。私達は、自分の健康を考えるように、地球環境の健康を考えなければなりません。

急速に育った人類の知性は、良くも悪くも様々な結果を生み出し、環境問題はあっと言う間に、眼に見えるものとなりました。今、この問題を受けて、人間の生きる目的と文化の方向は、転換すべき時期を迎えています。環境が秩序立ち、守られ、栄える為には、方法論だけでなく、私達の意識を変革しなければなりません。何故なら、結果は原因を直さなければ、根本的な解決にならず、環境問題は、人類の利己的な意識、愛の欠如から生まれた問題だからです。