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手紙:2023-04-14

人生と積極性

年齢と消極性

人類の進化で大切な要因に「積極性」があります。何故なら、人の進化は「意志」の進化であり、積極性はその土台となるからです。積極性と言うと、欲望や感情的な強さや思いつきで、忙しくするとか、突進する衝動性と思いがちですが、それは心力の激しさです。ここで言う積極性は、寧ろ心理的には気が進まなくても、「考えた事や必要な事を一貫して実行するメンタル的な態度」です。

年を取ると、仕事が終わる、病気になる、体力が無くなる、欲望が薄れるなどして、多くの人の活動範囲は狭くなるでしょう。しかし、第二の人生として、趣味や交流を自由に広げ、性格や意識が変わっていく人もいます。ここで考えるべき事は、年を取って活動が狭くなった理由は、加齢や環境の変化だけが理由ではないと言う事です。それまでの人生で、自立した積極性を身につけていたかが問われているのです。夢や仕事などを通じて、若い頃からメンタル的な積極性を身につけるよう努力していれば、年を取っても、活動が無くなる事はなく、次の展開を切り開いていけます。

現代は全ての人が個性的に成長し、社会での活躍を目指す時代です。その鍵を握るのは「積極性」。「チャンスが巡ってくる」、「素晴らしい事が起こる」と期待しても、受身で待っているだけでは運命を切り開く事はできません。積極性は、60歳以降、有意義な人生を過ごす為だけでなく、若い頃から有意義な人生を過ごす為にも重要な特性です。そこで、今回は積極性について考えてみたいと思います。

積極性の要素

では、積極的な行動には、どんな要素が必要でしょうか。それには、「考える知性」、「情熱を注ぐ心」、そして「行動する体」の三つの要素が、一つに統合され働く必要があります。若い頃は心の欲望と情熱が原動力となって、活発に活動できます。しかし、意味のある結果を出すには、目的を絞り込み、計画を立て、方法を選ぶ知性が必要になります。この段階では、イメージを具体化し、知識や技術を学ぶ必要がありますが、学習や考える事が面倒で、諦める人も多いでしょう。ここで、知的な努力の差が現れます。

そして最終的には、実際に一定期間行動します。これが「行動する体」です。行動とは、忙しく動き回る事ではなく、身体表現を始め、話す、書く、創る、研究するなど、一つの方向を目指して具体的に活動する事です。これには、時間と労力を費やす粘り強い努力が必要です。

つまり積極性には、体、心、頭が、一つになって活動する意志が必要なのです。どれが邪魔しても、欠けていても、積極的な創造性になりません。例えば、恐れや好き嫌いなどで心がネガティブになると、考えに集中できず、行動にも踏み切れません。知性がいい加減で大雑把なら、物事は進展せず、期待した結果にはならないでしょう。体力が無く動けない、体が怠惰で時間を守れなければ、実際には何もできずに終わります。

会社や組織で、やる事を与えられて活動している間は、嫌々ながらでも目的に従うので、実は積極性が身についているか不明です。仕事で活躍した人でも、引退後する事がなく、一気に老化する人もいます。義務や責任、束縛が無くなり、自己決定しなければ、何も起こらない環境になった時、自分で目的を見出し、行動を起こせるかどうか、私達は積極性を試される時代に生きているのです。

進化と意識拡大

今世の中には、自己決定して自分の意志を果たせる人が増えています。その為、多くの人が利己主義で我がままになり、互いの欲望やプライドがぶつかり合っているのが現実です。このような人達は、情熱、目的、計画、行動の要因を操る事ができますが、「真の積極性」には、もう一つ重要な要因があります。それが「愛ある動機」です。真の積極性には、利己的な目的では限界があり、その壁を突破して意識を拡大し、動機を変えていく必要があります。

魂の進化は、意識の拡大です。人間は意識が拡大する事で進化するので、その材料として経験が必要です。意識の拡大とは、自分の関っている人間関係をはじめ、国や民族同士、自然界の様々な存在が、どのように影響し合い、繋がっているか、理解を広げていく事です。また、生命は全体で進化の方向に向かっています。これらの繫がりと、方向性を理解する知性を愛と言います。意識の拡大とは、世界が互いに交流し、ある方向に進んでいる関係を理解する事です。

ところが、利己的になると、積極的であっても、動機は自分本位の楽しみ、自分の才能の開発、最終的には、自分の力を拡大する為になります。こうなると、どんなに勝ち進み、力を振るって、何もかも思い通りになったとしても、意識は「自分」に限定されたままです。数多く珍しい経験を積んでも、同じ事の繰り返しで、意識は何も拡大しません。魂から見ると、その人生から収穫するものは少なく、積極的に意識を拡大し、道を進んでいるとは言えないでしょう。

希望は魂の中にある

私達は経験を選ぶ時、怠惰な人は楽にできる事や得意な事ばかりを選び、野心的な人は力を拡大する事を選ぶので、実は質的には同じ経験を繰り返している事が多いものです。そこで魂は、人の為に尽くす愛を持つよう教えます。他の人々が望むもの、何か援助できる事に耳を傾ければ、自分の考え以外の世界に飛び込む事ができ、意識を拡大するチャンスが得られるからです。人の為に真に尽くそうとすると、違った思いや考えに接し、受け入れる事になり、新しい意識の交流が起こります。つまり積極的な経験として重要な要因は、体験の背後で意識が拡大する事なのです。だからこそ、私達は魂を求め、愛を実践しなさいと教えられています。経験を選ぶ時、この意味をよく理解し、動機を考える必要があるでしょう。

人は体が弱り、情熱が無くなると、行動が消極的になりがちです。反対を言えば、そうなった時こそ、考える知力を原動力として行動する訓練ができるのです。年を取ったので、意識の拡大が無くなるなら、人間には魂が働いていない事になります。私達が魂に意識を向ければ、魂は可能な縁を結び、力を与え、限界を越える糸口を示唆してくれるでしょう。

意識が消極的になる原因は、肉体の自分を私だと思い込んでいる限定感、今まで自立した意識を訓練しなかった事、あるいは同じ経験ばかりを繰り返し、何も考えなかった為でしょう。原因は体や環境の条件ではなく、意識の中にあるのです。それがわかったら、何歳であっても、直ちに修正し、生き方を変える事ができます。

本来人は積極的な生物です。何故でしょうか?それはどんな時でも魂の中に「希望」があるからです。向上し、進化していく希望、いつか完成する美に対する希望。これらは常に魂の中にあります。肉体は年を取っても、精神が若く、希望を求めている人は、魂と共にあり、更に成長を続ける事ができるはずです。

多くの人が長生きする現代、懸命に生きれば、人生のいつか、結果を出す事や義務から解放され、自由に経験を選べる時が来ます。もし今がその時なら、最も積極的に行動し、最も愛を実感すべき時ではないでしょうか。魂の希望に向かう人は、年齢に関係なく、積極的に生きています。その生き方が、光に向かう道を切り開いて行くのです。一人の積極的な生き方は限界を突破し、多くの人を導く道となるでしょう。

「私達は意識であり、魂である」。もう一度この真理を思い出し、積極的に生き抜く姿勢を整えましょう。

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