2015-09-13
蠍座のアッセンダント
蠍と言えば、最大の武器は毒。砂漠のような苛酷な環境でも生き延びる強い生命力と攻撃性を備えています。単独でじっと身を潜め、狙った獲物は素早く仕留め、更に猛毒は一撃で牛をも倒す強さです。このような一見恐ろしい性質は、星座のどんな特質を意味するのでしょうか?
蠍の毒とは、人の最も痛い部分をつく批判精神、自分の為に周囲を動かす知能的な支配性を表します。普段は余り感情を表さず、口数が少ない蠍座ですが、実は自分の目的を果たし、有利な状態に立つ為、じっと周囲を観察する優れた洞察力を持っているのです。人と群れず、一人で素早く行動し、勝つ為の知能と、目的に対する高い集中力を持つ蠍座は、利己的でありながら、ある種の発達を遂げた人間の進化段階を表します。
蠍座がアッセンダントの人は、自分と闘う克己心を学ぶテーマがあります。その為には、具体的に明確な目的を持つ事と、それに見合った才能を発揮して、有能で問題解決能力がある事を証明する必要があります。これをやり続けると、大抵一つの道を極める求道者となり、組織内あるいはある特定の分野で、非常に優れた才能を発揮します。
ところが最初は克己心とは程遠い怠惰な状態が続きます。できるだけ自分が動かずに、じっと周囲を眺め、利用できる人や動かせる人を探して事を進めようとするでしょう。命令されるのも、指図されるのも、興味の無い事をするのも嫌うので、人の言う事には耳を貸さない非常識な人にもなりかねません。一体何がきっかけで、克己心が芽生えてくるのでしょうか?
蠍座は天に燃える赤い火が象徴であるように体も心も知性も、燃やし尽くす程活動するのが本来です。この転換点は、①好きな事が見つかるか、②家族や仲間に責任を感じるか、あるいは③窮地に陥って逃げ場が無くなった時でしょう。このどんでん返しの瞬間がいつ訪れるかはわかりませんが、蠍座にはそうならざるを得ない運命が必ずセットされています。何故なら、人を利用し怠けたら、運命が悪化し自らを滅ぼす毒が星座の中に埋め込まれているからです。
外に向けていた毒が、実は自分も蝕んでいくのが蠍の毒です。また勘が良いので、何故このようになったか、原因の見当もつくでしょう。自覚が生まれた蠍座は、ようやく変貌を遂げ始めます。体も鍛え、感情を殺し、時には考え方さえも修正し、能力を極める求道者が誕生するのです。つまり、今まで周囲に向けていた批判や支配は、自分の才能と知性を極める為に使われ、自分との闘いが始まるのです。こうして蠍座の人は、人格の中から最高の力を引き出す人となるでしょう。
一旦火がついた蠍座は美に対して完璧な理想を描く感性が目覚めます。正確さを好み、明確なイメージを描くので、些細な違いも許さず、人にも自分にも厳しく修正を迫ります。あんなに怠け者だった人が信じられないと言う程、寝るのも惜しんで活動し、周囲から尊敬される人となるのです。実力を示し、人に認められる程、究極の負けず嫌いでもある蠍座は、人格者やリーダーとして社会で活躍し、益々理知的な人になっていくでしょう。
このようになった蠍座は、専門家あるいはその道のプロとして、同じ道を行く人々の優れた指導者となります。相手の利点や欠点を鋭く見抜く洞察力、徹底した集中力と粘り強い不屈の意志は、面倒を見る人々を鼓舞し、実際的に改善する大きな力となるでしょう。どん底から這い上がり、難局に立ち向かう理性を身に付け、自分を改善する蠍の姿は、まさに不死鳥と呼べるのです。