魚座
水の惑星地球、生命を生み出す海から光り輝く魂が誕生する深遠な星座が魚座です。海を支配するのはギリシャ神話のネプチューン、地球人類は本来水を支配する神の役割を果たします。魚座はその過程をどのように援助するのでしょうか。
占星学では水は感覚、感情、欲望を象徴しています。人間の初期段階は水に沈み、溺れ、翻弄され、感覚に圧倒されてしまいます。魚座の人は、海の中で様々な生物に会うように、接する物、心が捉えた現象に振り回され、意識が目まぐるしく変化します。理想や夢を直感的に捉え、感性が豊かで芸術肌ですが、非現実的で想いに没頭するので、人の意見も右から左に聞き流されてしまいます。これを霊感と勘違いする事がありますが、殆どが環境の物質的波動に無意識で反応しているに過ぎません。同情深く優しいので、人に献身的ですが、状況や人、仕事に依存する強い中毒性を持っています。人生も波乱万丈で、様々な感覚に囚われて、苦労を背負う厳しい人生となりがちです。しかし海が全てを飲み込むように、広大な包括性と強い信念がある為、必ず苦境を乗り越えます。
さて魚座のアッセンダントでは、学ぶべき方向性が二つに分かれます。一つは優しさや同情心を学び、命に尽くす自己犠牲を学ぶテーマです。この場合は周囲に面倒を見なければいけない家族や仲間が表れ、次々と問題やアクシデントに見舞われます。自分の計画を立てても必ず横槍が入り、結局は人に尽くし、命の尊さと犠牲的精神を理解するまで束縛が続きます。
もう一方はかなり難関なテーマです。それは感覚や欲望を識別し、真の理性を勝ち取る事です。これが水を支配し魂に至る究極の道です。このような人は、何が本当の理想なのか、自分の使命とは何かを捜し求める人生となります。色々な事を試して、一定の期間没頭しますが、どれもこれも満足できるものではありません。この時期は、七つの海を泳ぎ回る様々な経験に例えられます。ある程度の実力があり、やろうと思ったらそこそこできる自信はあるものの、精神を満たす確信は、水のように変化して長続きしません。
自分でも何を探しているのか明確でなく、言葉でも言い表せないのは、仕事の種類や場所、人を探している訳ではないからです。この人が真の満足を得るのは、魂としての識別力、正しい判断力、そして周囲の人に対する真の救済を実現する精神が、自分に宿ったと確信する時です。この抽象的な理想は、言葉に言い表しようがありませんが、人が海を制して脱出し、魂の理性として誕生する瞬間を表しているのです。
人の苦しみは、感覚や欲望に振り回されて正しく物事が識別できない為に生まれます。魚座の人はこのような精神的苦労を人一倍経験し、欲望を見極め、その辛苦から脱出した経験を持っています。だからこそ、人々を救済する為には、精神の成長と識別が大事であると理解しているのです。
魚座には生来の信仰心が備わっています。深海から浮上する為、光に向かう道標が信仰です。どんな絶望や失敗からも浮上する不屈の精神は、魚座の救済する意志を育みます。形はどうであれ、独特の芸術的感性や救済の精神が活かせる仕事なら、それが命をかける人生の目的、生きがいとなるでしょう。魚座からは歴代様々な分野で天才や聖者が生まれています。規模はどうあれ、自分と周囲の人々を援助するには、欲望と真の理想を区別し、理性的に考える力を、魂から引き出す事から始めましょう。魚座を通じて海から魂が誕生する時、無数の魚を導く海の神が生まれるのです。