牡牛座
闘牛のイメージが強い牡牛、興奮しながら突進する勢いと強い力が特徴です。春が始まる雄羊座に続く牡牛座は、太陽の光を吸収して、勢い良く成長し、天に向かって開花する時期に相当します。
牡牛座は強い欲望と実際的な獲得力を持って、様々な経験を得る星座です。欲望をある目的に向ける昇華活動は、この星座の基本です。物や金、不動産、そして良い職業と地位に結びつく知識を扱う事に長け、獲得する為に突進します。その動機は「憧れと向上心」。これを得ると、素晴らしい生活や自分の進化がある。そのような夢を直感的に掴むので、余り理屈では考えず、普通では無理だと思う事も成し遂げてしまいます。
牡牛のもう一つの特徴は、その名の通り、行く手を邪魔されると、猛烈に怒ったり不機嫌になるので、12星座の中でも「怒りの星座」と呼ばれている事です。正義感や倫理観も強く、発案や創造的な提案をし、自分の向かっている事に周囲を従わせる支配力を揮うのも特徴です。
アッセンダントが牡牛座の人は、まず向上心や憧れを持って、何かを獲得しようとする意志を強化する事が大事です。消極的で行動に出なかったり、少し問題があると諦めたりする人は、この星座の強い欲望を借りて、現実的に意欲的行動に出なければなりません。人は衝動に駆り立てられて、職業を得たり、学んだり、家庭を持ったりする経験を積んでいきます。
しかし、動機が欲望である限り、意志は「意地」になってしまいます。そして欲望を満足させる為に得た場合は、何かを得ても有意義な使い方にまで生かせません。間もなく次の何かが欲しくなり、結局次々と新しい物や経験を得ても、真に満たされない心理状態を繰り返す事になります。これは「牡牛座の不満足」と言われる状態です。
ここで、得たものは何の為だったかを知的に思い出し、充分生かす筋道を考える必要が出てきます。これが牡牛座の豊かな創造的人生の土台となります。この訓練で、牡牛座は物の価値を引き出し、良い目的に生かす方法を獲得して行きます。
更に進んだ段階の牡牛座のアッセンダントでは、その特質である突進する欲望と強い感情を、正しく制御し扱う訓練を始めます。これは釈尊が説いた「八正道」に通じる道で、人を苦しめる原因「膨大な欲望=牡牛」と闘う意志を培う事になるでしょう。この段階の牡牛座は、持っていた物や執着していた人、環境を失い、失意や怒りに駆られる経験をします。この時こそ、知識や論理が重要になってきます。辛くても、感情はさておいて正しい行動を取るよう自分を躾けなければなりません。これこそが八正道の実践です。
同時に、牡牛座には素晴らしい生命力が与えられているので、必ず希望を見出して復活する事が可能です。これらの経験と意志の強化で、物事に執着せずに、自由自在に物質を扱う能力が得られるでしょう。欲望の真の支配力を得れば、何事も楽しむ余裕やユーモアの精神が育ちます。また獲得する力で、家族や周囲の人々に必要な物を分配する事ができるようになります。
牡牛座は政治家、金融や不動産関係、事業の創始者、優れた芸術家、そして物品を扱う流通関係に向いています。人が執着せずに、地上の物を良い目的の為に扱うと、物は良い経験をし、中に潜んでいる光が引き出されます。植物の花を咲かせるように、全ての物質から美を取り出す行為は、真の癒しであり、現代の科学的研究にも通じる道です。自分の欲望を最低限に抑えて物事を扱う強い意志力は、真に地球を癒す力となるでしょう。