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手紙:2019-11-08

愛と磁力

物質の磁力

皆さんは衝動買いをした経験はありますか?「何でそんな物を買ったの?」と聞かれて「服が私を呼んだのよ」「宝石に引き込まれたの」、と答えた事はありませんか?この表現は例えとして、物質の特質をよく表現しています。磁石の周囲に磁場があるように、物質には固有の振動があり、何らかの磁場があります。この磁場は、人間に見られたり触られたりして「認識される」と、活性化してより大きな磁力を発揮し、私達を引き込む、つまり「呼ぶ」のです。

人間と物質の関係は、人が注意を向けて認識する事で結ばれます。この関係は物質の進化にとって必要な力ですが、人間の進化にとっては、大きな阻害要因にもなっています。「瞑想しようと座るけれど、瞑想が全くできない」と言った悩みを聞きますが、その大きな原因の一つが現象や人間関係を含む物質界の磁力です。今回は私達が意識的、無意識的に繋がっている物質界との関係を理解して、今後の意識活動に役立てて頂きたいと思います。

物理学の「量子論」で、「物は見られる事によって存在する」と言う哲学的な理論があります。人に認識されなくても、世界は以前から存在しているとも言えますが、人間が五感覚と知性を使って認識すると、対象物はエネルギー的に活性化されます。何故なら人間の意識は、魂から与えられた特別な引力を持っているからです。引力を向けられた対象は、潜在している力が活性化されて振動が早まり、磁力を増してその人と繋がります。こうして物質は、人を呼ぶ事ができるのです。

磁力の包囲

物質の磁力に意識が巻き込まれると、人はその対象に魅力を感じます。反対に引力が働かなければ、その人にとっては無いのも同然、気にならない存在となります。物質はこの法則を使って進化します。自然界も、人に見出され、接触すると、より強い磁力で繋がり、意識の影響を受けて、より早く進化します。

その中でも、人間は最強の磁力を秘めている存在です。子供は親の注目を集めて育ち、人間同士は互いに繋がって影響を与え合い、高い磁力を持った人は、周囲を感化し進化させます。つまり、人間と物質、人間と生物、あるいは人間同士は、お互いに磁力線を出して、自己存在をアピールしていると言えるでしょう。

さて、磁力の法則から考えると、自分の環境は自分の意識が繋がって、引き寄せ、創造している事になります。この観点から、どんな意識が働いて、自分の環境が出来上がっているかを考えてみましょう。人、物、場所、現象など、それは自分の意識が磁力を結んで創られた世界です。意識して引き寄せたものもあれば、無意識のものもありますが、いずれにしても、自分の意識が繋がりを表現しているのが環境です。

様々な現象を含め、気になって仕方ない、四六時中その事を考えている、話題はその事ばかり、忘れる事ができない、夢中になる、これらは、良くも悪くも、磁力が意識を包囲し、束縛している状態です。人間の意識は、魂から与えられたものですが、人格の中に埋没しているので、物質の磁力の方が強く働き、意識を取り囲んで固めてしまいます。

瞑想しようとしても、目の前の事が先にしたくなる、日常の記憶ばかりが浮かんできて、どうしても集中できないと言う状態は、物質の磁力の方が強くなっていると言えるでしょう。自分の意識が自由なのか、束縛されているのか、まずは正しく認識する事が大事です。

意識のスイッチ

魂の愛=引力は、進化エネルギーであり、物質界の磁力とは方向が違います。愛は放射であり、物質の磁力は求心的なので、物質界に意識が閉じ込められると、誰でも閉塞的で利己的になります。本来人間は、魂エネルギーを物質界に浸透させる事が使命なので、物質に魅力を感じる事は、対象にエネルギーを伝達するきっかけになります。環境とは、その人が奉仕できる対象によって成り立っているのです。

しかし、意識が物質に囲まれ監禁されていたら、本来の高いエネルギーが取り込めないので、進化エネルギーを伝達できません。意識は、物質から自由であってこそ、正しい奉仕ができるものです。それではどうしたらこの状態から脱出できるのでしょうか?

魂の方向に意識を「引き上げる」為には、まず私達は強烈な物質界の磁力に取り囲まれている事実、無意識に「呼ばれる」危険な状態にあると認識する事です。そして、磁力に巻き込まれているのは、魂ではなく人格であると気付くべきです。人格は私の一部ではありますが、本質ではありません。「私」の源は魂本体なのです。従って、「人格自身と自分を完全に同一視しない事」が大事です。そして、どんなに重要な事柄であっても、人格と繋がっている全ての現象、物、人、感覚などからは、意識の磁力スイッチを切る練習が必要です。

これは押し寄せるイメージに反発し、抵抗する事と違います。抵抗すると反動がやってきて、余計に大きな力で巻き込まれます。意識を光や魂、神など崇高なものに集中させる事で、他に繋がっている引力を離すことが正しい方法です。浄化とは、主に物質の磁力から意識を解放する事なのです。

距離感と自由

私達はしばしば問題の解決で、必死に考え、方法をあれこれ探り迷いますが、根本的解決は磁力に固められた意識では思いつきません。様々な欲望や心配を「諦めて」、魂に意識を引き上げた時、初めて魂意識と繋がって、物事の解決や変革が可能となるのです。

さて、魂意識に帰る準備として、誰にでも役立つ提案ができます。日常のあらゆる場面で、物質の磁力を感じている自分を捉える事、そして、それにのみ込まれない「距離感」を確立する事です。更にどんな判断であっても、「絶対」、「完全」、「正義」、「真理」などと信じ込まない事です。断定し確信して信じ込む事で、私達の意識は物質の磁力に埋没し、固められてしまいます。何故なら私達の意識は、魂的な見解が欠けていて、大抵物質的な側面だけを認識しているからです。人の認識は、不完全な意識が、不完全な物質を判断している刹那的なもの、または幻影です。

好奇心、同情心、美を感じる心は、奉仕の動機となるので大切です。その反面、それがきっかけで、意識が囚われの身となる危険がある事は知っておくべき事でしょう。物質界の救済は魂の使命なので、私達が取り組むべき事です。しかしそれには、危険に対する注意深さと、自分の意識の未熟さを受け入れる謙虚さが必要でしょう。そして、意識が囚われてしまったら、改めて距離を取る、この積み重ねが重要です。

私達は、訓練を重ね、やがては物質から自由な立場で、魂の光を放射する存在となるはずです。その為には、まずは自分の環境と意識を正しく識別して下さい。物質界と共にありながら、どれだけ意識は自由になれるか。それは究極には、魂意識が自分と言う人格から、どれだけ自由であるかと言う事に繋がるでしょう。日常生活とは、この絶え間ない訓練の場です。日頃の地道な意識の積み重ねが、未来への道を創っていく事でしょう。

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