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手 紙
手紙:2023-11-17
人類の愛の証
愛と成熟
今、若い世代の才能ある人達が、続々と活躍しています。しかし、IT関連の会社では、相当の努力を強いられています。何故なら、若い人達が、次々と新しい発想で技術を開発し、一つの技術が10年もたないからだそうです。このような人達は、元々知性が高く、早くから才能を表します。アメリカでは、IT関連の仕事では、40歳を過ぎると、雇う会社が無くなるとまで言われています。
一方、知性が高くても、仕事をしない人や、人間関係が上手くいかずに、社会適応できない人も増えています。知性が突出して高い人が、人間として成熟しているかと言えば、必ずしもそうとは限りません。人が精神的に大人になるには、知性以外に別の要素が必要です。それは愛です。私達は愛とは何か、よくわからないものの、人の成長には、愛が重要だと理解しています。知性が発達していても、自己主張が強く、協調性が無い人を見ると、幼いとか、愛が欠けていると感じるセンスが発達してきているのです。
また震災などで、心が傷ついた多くの人を癒すのは、お金だけではなく、愛の力であると信じています。私達は、様々な社会現象や関係の中で、個人的にも社会的にも、愛は永遠のテーマであると理解し始めたのです。愛は進化を促進する力です。人の成長にも、苦しみからの脱出にも、愛の力が必要です。今回は、人を成熟させる精神的な成長の面から、愛を考えてみたいと思います。
愛は突破する力
ある番組で、高学歴でありながら、働かない10名程の若者を集め、話をする企画がありました。頭が良いので、働かない理由を論理的に語ります。司会でまとめ役の人は東大出身者で、彼らの理屈を聞きながら、その論理がおかしい事や、自分の若い頃の体験談を織り交ぜ、話し合いが終わりました。その後、参加者の中で変化が起こり、就職した人、職を求めた人が出たそうです。
働こうと決意した人の内面で、どのような意識の変化があったのでしょうか。この現象を、愛=引力の働きから考えてみましょう。愛は、バラバラ、あるいは遠く離れた存在をまとめ、目的を持った大きな形態に一体化させます。例えば、私達の肉体は、バラバラな原子がまとまって、「私」と言う塊を維持しています。魂の愛=引力が、原子そして器官を一体化し、一人の人間として機能させています。
愛が繋ぐのは、体だけでなく、人間同士を繋ぎ、グループを作ります。家に閉じこもって社会との関係を拒否している人は、いわば単独のバラバラ状態です。ところが、仕事を探しに行った人は、単独状態から、社会のグループに入ろうとしたのです。その人は、何らかの刺激を受けて、愛に反応したのです。
単独の物質は、自己存在を維持する為に、強烈な斥力で自分を守ります。反発が強いので、別の物質と関係を持つグループ活動ができません。しかし、愛に反応すると、自分を守る厚い壁を突破して、別の繋がりを求めるようになります。どんなに知性が高くても、意識に殻があれば、必ず限界が起こり、進化は止まってしまいます。人が成熟するには、自分以外の多くの人と繋がる愛を受け入れ、より大きな単位として生きる愛が必要なのです。
脱出する力
人が苦しみから脱出する為にも、同じように愛が必要です。私達は、震災や戦争などの辛い出来事を経験すると、その当時の「思い」に長い間苛まれます。更に過去世のトラウマに苦しむ人も数多くいます。多くの人から優しさや援助を受けても、心の傷がどうしても癒えない場合があるものです。そして、その思いを取り払う、あるいは解決しようと、人生でもがき続けます。
苦しみからの解放は、一部の人の問題ではありません。何回もの転生をしてきた私達は、全ての人が、どこかで必ず恐ろしい体験をしたに違いありません。しかも、それは何回も繰り返されてきた可能性があります。苦しみとの闘いは、一人の問題ではなく、まさしく人類の歴史とも言えるでしょう。このような心の苦しみ、嫌な思いの印象から解放されるには、愛の世界で生きる事が大切です。では「愛の世界」とは、どこにあるのでしょうか。
愛の世界とは、如来のような素晴らしい人がいて、心を救ってくれる特別な場所ではありません。実は、私達のすぐそばの普通の場所にあるのです。それは良い目的を持ち、協力して何かを達成しようとする人々と、自分も協力して生きられる場所、それが愛の世界です。
自分に合ったそのような場を見つける事は、難しいかもしれません。しかし、多少の能力を発揮できる場所、自分が役立つと感じる場所、そんなグループを探す為に動き出せば、その活動自身が、苦しみの世界から、脱出した事になります。
大きな世界との接触
閉ざされた苦しみから、別の目的を持ったグループに意識を向ける事こそ、旅立ちのサインです。それが仕事である人もあり、趣味の世界、ボランティアの奉仕である人もいるでしょう。実際に動いてみないと、どんな分野があり、どのような人が何の活動をしているか、わかりません。繋がってみないと、自分の中にも、どんな能力が潜在しているかわからないものです。
刺激を受けて初めて花開く意識は、自分にとって未知のものであり、案外人は自分の才能や、その場でどんな気持ちになるか、知らないものです。殻を破って愛を受け入れると、人は新しいエネルギーによって、驚く程、変化するものです。
愛は引力であり、まずは接触する事から始まります。最初は気が進まず、希望も持てず、何も見つからないと思うかもしれません。しかし、突破しようと意志強く行動する人を、魂の愛は放ってはおきません。求める者に縁を繋ぎ、交流のチャンスを導くのが愛の役割です。今では、遠く離れた別の国、違う民族とでも、ネットを通じて交流できます。世界中に、これだけ出会えるチャンスがある現在、意識を通わせ、共に行動する人が誰もいないと言う方が、難しいかもしれません。苦しみからの解放は、今意識が捉われている世界から、脱出しようとする自分の意志、愛に向かおうとする勇気が、突破口を開くでしょう。
人類の愛の証
最後に、私達にとって、最も遠く離れて存在するものとは、何でしょうか。それは存在すら証明できない魂でしょう。人類の苦しみの根源とは、人格と魂がバラバラになり、繋がらない事から発しています。愛が人を繋ぎ、大きな輪が広がった時、私達は人間が「人類」と言うグループである事を実感します。その時、証明できなくても、人類を送り出している源は、魂の愛であると実感するでしょう。魂を求める愛は、人が故意に拒まない限り、意識を広大な世界へと導いてくれるでしょう。
長い歴史の流れを考えてみても、これだけ苦闘してきた人類が、今平和の実現に向け、生活している世界を考えてみて下さい。これこそ、深く傷つき、絶え間なく苦しんできた私達が、愛によって、復活している事の証拠です。これこそ、魂の愛の素晴らしい治癒力、進化を導く力強い導きの証明ではないでしょうか。
自分が未熟で、限界があり、アンバランスであると気づいた時、苦しみから解放されたいと願う時、私達には愛が必要です。その愛こそが、成熟するエネルギーであり、求めるからこそ出会えるのが愛なのです。自分の殻を破り、今より大きな繋がりの世界へと参入し、世界を拡大していきましょう。