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手紙:2026-07-17

役割と責任

役割の自覚

日本は引退後の年金支給額が高くありません。それだけでは暮らしがギリギリ、あるいは無理な状態の人も多く、社会問題になっています。その中で、ある男性が、子ども食堂でボランティアを始めた事が取材されました。生活はきついままですが、一方で、人との関わりを持ち、役立つ事をしたいと、参加し始めたそうです。今では、作業も子供との関わりも充実し、その活動は男性の生きがいになったと言う事です。

人は仕事の引退後も現役時代でも、生きがいを持つと、元気で生き生きと活動する事ができます。若々しく生きている人は、単に楽しいだけではなく、精神的な意義と喜びを感じられる活動があるのです。「生きがい」は、自分が必要とされている場所で、要求される能力を発揮し、自分の存在が求められている事を感じると得られるものです。人生の生きがいとなると、楽しいだけでは不十分で、人の役に立つ事で、真に命が脈動するのです。それには「自分の役割」を果たす場所、「責任を負う」活動が必要です。

魂は、愛の表れとしての「責任感」を重視します。責任感は魂が生命を強化する大きな要因で、特に60歳は、人格が魂的な責任を果たせるか精査する時期と言われています。その判断基準は二つあります。①その人が、霊的にまだ変わる可能性があるか。②繋がっている環境や人に奉仕する可能性があるか。この二つのどちらかあるいは両方の可能性があると、魂は人生を続ける決断をすると言われています。

今回は、役割と責任の観点から人生を振り返り、私達の生き方を、最後まで実り多きものとする秘訣を考えてみたいと思います。

客観的理解と確認

人は長く生きればいいと言う訳ではありませんが、六十歳の地点で、意識が魂の方向に向いているなら、充分長く生きる事で、精神の進化や徳を積み易くなります。魂の視点を理解する事は難しいですが、少なくとも「自分の役割」がある人は、それを果たす為、自らを制御し、変えるチャンスがあります。また、役割と言うのは、家族や組織、グループ内での繋がりから起こるものです。この視点は、愛が働くグループ意識の基盤になります。魂は、グループの愛が基本なので、人や生命に奉仕する役割があるなら、使命を果たしていると言えるでしょう。

私達は、幼かったり、自己中心的だったりすると、自分を中心に繋がる関係しかわかりません。そのような繋がり方は客観性に欠け、自分の思いに偏った感覚の関係が多いものです。その為、一方的で独りよがりになり易く、誤解や思い違いがわかった時、愕然とする事もあるでしょう。自分中心の関係は、善意のつもりでも客観性が無く、決めつけから断定になり易いものです。その為、周囲に確かめようと言う気が起こりません。例えば、親子の関係で、子供が大人になって自分の意見を言えるようになった時、親の想いや行為が、実は見当違いだったり、不必要だったとわかる事があります。

グループ内で責任を果たすには、感覚や断定ではなく、客観的な知性が必要です。グループに役立つか、求められている事なのかを、確かめる必要があるのです。思い込んで仕事を進め、後から理解が違っていて無駄になった経験がある人は、この違いと重要性がわかるでしょう。私達が自分の役割を発見する為には、関係の理解、全体像の把握、役割の確認を、自分の言葉で再現し、「客観的に」する事が大切です。

時間と責任の関係

人の本質は魂ですから、ただ楽しく楽に生きるだけでは不十分です。活動の中に、小さくても「責任」を負う部分があってこそ、意義と喜びを感じられます。しかし「責任」と聞くと、人は本能的に避けたいと思うものです。引退後は、一切の責任から解放されて、自由に、好きに生きたいと望む人は少なくありません。

何故責任を避けたいと思うのか、その要因を考えてみましょう。勿論大きなストレスを感じるからなのですが、その要因は大別すると、「能力不足」と、「時間との闘い」が大きいでしょう。中でも、期日や速さを競う「時間」は、大きな重圧です。もし、いくらでも時間をかけていいのなら、能力はそのうちついてくるかもしれません。そう考えると、時間はあらゆる面で相当なストレス要因だとわかります。

責任を果たす為に、時間の要因が組み込まれているのには、理由があります。何故なら、人の進化は、時間を速める能力が条件だからです。「時間」とは、物質の変化の速さと関係します。人間の使命は、物質に効果的な変化を与え、回転速度を上げる事なので、速さは重要な要素になるのです。関係する物や人の変化の計算、効率を高めて速度を上げる事、チャンスを掴む事、これらは全て、メンタル的な集中点に関係します。知的集中によって、自分にも人にも変化を与える力こそ、責任の真髄と言えるでしょう。

年を取って、一切の責任から解放され、時間の制約も無くなると、一見幸せのように見えますが、かえって知的集中力と速度が衰え、体を含め全ての機能が低下します。その結果、老化が進み、病気が発生したり、認知力の低下を起こすのです。どんなに小さくても、社会や人との関係を保ち、責任を担う事は、重要なのです。

時間と意志

では、具体的に速度を高めるには、どうすれば良いでしょうか。過去の時代では、一生懸命、我武者羅に頑張る事が大切でした。これは心の集中で、現在では、あまり効果は上がりません。寧ろ心を働かせると、知的集中を邪魔してしまいます。心は落ち着かせ、言い聞かせ、静かに従うよう教育する事が大切です。

そして第一に、家庭であれ、社会的な繫がりであれ、自分の役割があるかどうか、考えてみましょう。役割が無ければ、何か責任を負う働きを探してみましょう。そして、自分のすべき事を正しく理解する為、何故その働きが必要なのか、その働きは全体とどう関係するかを考えて、理解する事が大切です。

それが明確になったら、次は実行です。活動では、効率を上げるにはどうしたら良いか、必要な技術や知識があれば、学ぶ事も大切です。効率は、時間と関係するので、とても重要な要素です。

更に考えるべき事は、「期日・時間」です。仕事は言うまでもありませんが、習い事やボランティアでも、発表会やイベントがつきものです。人にどう思われるかと言う体裁問題より、発表会効果には、意味のある側面があります。習った事への責任、グループの一員としての責任、期日に焦点を合わせた集中力の維持、技術の向上、健康管理など、様々な要因を訓練する事になるからです。限られた時間の中で、目標に近づく為には、効率や集中、周囲との関連も的確に理解しなければなりません。結局これらは、知力を高め自分を支配する事に通じます。制限や条件があるからこそ、自分を支配でき、その結果、能力が高まるでしょう。

魂と責任感

元々、「責任」とは、魂の特質です。その特質が人格に投影し、何かの責任を果たすようになっているのです。魂は、生命の法則を理解して脳に伝達し、それに沿った行動を取るよう人格を訓練します。そして私達は魂の考えを脳で翻訳し、自分と周囲に伝達する事、行動で示す事に責任があります。そのようにして、世界には良い変化が広がっていくよう仕組まれているのです。

魂の意志はとても高度なので、中々理解できませんが、もし周囲に良い行いをして、何らかの責任を持ちたいと望むなら、私達はもう既に魂と共に歩み出しています。責任感は、ストレスの源でもありますが、その緊張点が魂との接点となるなら、私達に豊かな知性と愛、そしてストレスを打ち消す健康を与えてくれるでしょう。

人類は、新しい生命周期に入りました。人類も個人も、新しい生命と共に生きる事で、世界はより豊かに、健康になっていくでしょう。私達は、どんな未来を築く事ができるでしょうか。それは、一人一人が、小さな責任を負う事から、始まるのです。

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