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手紙:2018-03-09

藍色と直観

自然界の藍色

夕暮れ時の空は、夜のとばりの藍色と夕日のオレンジ色が重なり合い、宇宙的な美を感じられる瞬間です。夜空は一見漆黒に見えますが、昔から藍色で描かれるように、宇宙空間は「藍色」の代表です。また私達の心を洗い、癒す深い海も藍色です。人は生活に疲れ、行き詰まった時、また精神的に求めるものがある時、空、海、そして山を眺め、感じようとします。それは何故でしょうか。

自然界には、神の特質が散りばめられていますが、山は強さの意志を表し、そして海と夜空の藍色は、神の愛を象徴しています。人間は水の惑星=地球を表す「海」と、「宇宙空間」の二つの藍色の間に生きる生命体です。「愛」と言えば、とかく人間同士や親族間・男女間の愛着だけを想像しがちですが、人は純粋な愛が海や宇宙に表れている事を無意識に知っているので、海や夜空を眺める習慣があるのです。今回は、海と夜空に象徴される抽象的な愛が、人生をより良く導いていく事について考えてみたいと思います。

さて、私達は日頃どんな事を考えているでしょうか?家族、仕事、人間関係、将来‥など、自分の周辺で起こる目まぐるしいドラマに意識を奪われています。次々と変化する環境に対応する為、あるいは自分の仕事や目標を達成する為、意識は殆ど周囲の状況に囚われがちです。全ての人が速い変化と強いストレスにさらされ、日常で自然を眺める余裕がありません。

私達がこんなに忙しくなった原因とは何でしょうか。その一つの要因は、我々を取り囲み、人間自身を作っている「物質」の振動が、猛烈に速くなっているからです。その為、考えたり行動した事の結果が、恐ろしく早く出るようになり、人はその対応と処理に追われる事になりました。全ての人が何らかの物質を扱い、責任を負う立場となり、このスピードと責任分担が大きなストレスとなっているのです。

人はストレスが頂点に達すると、日常から離れ、海を見たくなる事があります。実際眺めると、問題が解決した訳でもないのに、心が洗われ、落ち着きます。深くて広い海は、悩みの小ささも教えてくれます。そうすると、自分を冷静に見直し、良い判断ができるようになる事が多いものです。海は全てを包括し生かす、「広い愛」の象徴であり、私達に「心の浄化」を示唆してくれる存在です。

水は欲望を象徴していますが、私達は自分が立っている狭い世界の水=欲望に囚われると、視野が狭くなり「こうでなければならない」と自分や人を縛ってしまいます。しかし地球や宇宙の欲望とは、世界を覆い全ての生命を生み出す源であるように、広く測り知れない神秘の存在です。そして私達自身も、「神の欲望」=「神の夢」から生まれた存在です。人はその事実を無意識に知っているので、海を見ると、小さなこだわりや愚かな欲望を悟り、心を浄化する事ができるのです。愛の象徴である藍色は、私達に愛の大きさを思い出させ、意識を浄化する働きがあるのです。

宇宙空間は直観の宝庫

一方、星の輝く夜空は、意識を高く崇高な世界にまで運んでくれます。地球の枠を越えた宇宙には、無数の星や星座があり、想像と直観を無限に広げる力があるのです。

現在、宇宙開発は世界中で急速に進んでいます。宇宙の研究は、一見人の生活と無関係のように思われますが、発見される法則や原理は、科学の進歩に欠かせません。そして科学の進歩が、私達の実際的な生活と社会を支えているのが現状です。宇宙がもたらす人間社会への恩恵は測り知れません。それは何故でしょうか?宇宙は愛が遍満している「知的直観の宝庫」だからです。

また、宇宙から地球を眺めると、多くの人が命の一体性を感じます。宇宙空間には、人類が発展する為の思想と、正しい生命の関係を教える愛の力が遍満しているのです。人間とは海と宇宙の間に生きる生命体です。私達は、宇宙的な愛から派遣され、地球の海をくぐり、自分と周囲の欲望に翻弄されながら、人生を生き抜きます。そしていつかは海から上がり、心が浄化されて自由になった時、次は空を見上げて宇宙を目指します。人は宇宙から派遣され、海に落ち、苦闘して再び宇宙に戻る「愛の息子」なのです。

想像力は愛への橋

強いストレスにさらされ、毎日忙しい時間を過ごす私達に、海や宇宙を眺める暇は殆ど無いでしょう。「何を悠長な事を!」「星なんか眺めて得になる事があるか?」「何の助けになるのか?」と思うかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。

海や空、宇宙を眺める事、それらを忘れた時、私達は「真の想像力」を失っています。想像力は愛が与えた智恵の鍵です。想像力が欠けると、人は現実の世界に縛られ、あらゆる可能性が狭まり、視野狭窄になってしまいます。違う価値観を認める余裕がなくなり、否定的になり、全体を眺め、意味や原因を考える機会を失ってしまいます。

想像力は空間を旅する翼です。偉大な発見も科学の探求も、想像力が源になり、疑問や神秘への憧れから生まれてきたのです。問題の根本的解決、あるいは目的への道を探るには、高い視点が必要です。その高みに飛んでいく為の道具が、まさに想像力なので、私達は自分からも人からも、自由な想像力を奪ってはなりません。正しい答えと効率の良い方法だけを求める狭い知性は、意識を現実世界に縛り付け、結局は根本的な解決を生み出す事ができないでしょう。

さて、昔も今も、想像力を最高に刺激するのは、愛を象徴する夜空、宇宙空間です。そこには、原理を教える愛と知恵が満ち溢れています。人は藍色に接する想像力を忘れると、同じ事を繰り返し、同じ失敗に苦しめられる可能性があります。夜空を眺め、海を感じる意識を失っている人は、真理を理解する想像力が欠けていないか、自分を点検すると良いでしょう。

空間を繋ぐ考える力

悩みや問題解決には、原因を理解する知性が必要です。その為には、一旦その状況から意識を離し、全体を眺める客観的な意識に戻す必要があります。別の目的や環境を与える事で、結果的に元の悩みが解決する場合は多いものです。ですから、問題が起きた時、進化すべき時には、自分の立場を離れて、誰もが社会の一部、人類の一員であると言う思想を理解する必要があります。社会、人類、地球そして宇宙、全体との繋がりを感じる事が愛であり、愛の中に立つ事で、初めて本質的な問題解決が考えられるのです。

人間も地球も、宇宙の一細胞です。この「事実」を認め、謙虚に理解しないと、我々は自分の立場を主張し続けて、個人的にも国家間でも、争いを終える事はできません。もし私達が問題を抱え、悩み、衝突に翻弄されているなら、結果や方法ばかりを考えず、一度自分の意識を天高く上げてみて下さい。空を眺め、星を思い、偉大な宇宙がどのように進化しているかを考えてみて下さい。一見全く関係ない大きな愛を考えてから、自分の小さな問題を考える視点が大事です。そうした後に理解できる事の方が、より真実に近いのではないでしょうか。

人間には本来、宇宙と地球を繋ぐ愛=考える力があります。愛と進化は、常に抽象的な空間の中にあり、その空間に接し、エネルギーを引き出す為に、人間は考えるのです。その考えが完全でなくても、常にその場、その時で「受け入れられる最良のもの」を考え、一つの階段を築いていかなければなりません。

何故人間は、海と空の間に生きているのか。忙しさの中でも、その存在を感じる時間をつくり出す事は、今の私達には必要です。それらが投げかけている意識を受け止める事が、結果的に人生をより良い方向に導いてくれるでしょう。自然の美しさが増す今、藍色から直観を引き出す実験、どうぞ試してみて下さい。

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