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手紙:2018-11-02

奉仕の意義

カルマの法則と魂の法則

私達は宗教やヨガで「カルマの法則」と言う言葉を耳にします。「成した事は成される」的に解釈され、罰を与えるような恐ろしい印象を受けますが、これは知性が発達していなかった人類に、喩えで説明された不充分な解釈です。現代では「原因と結果の法則」、あるいは「作用反作用の法則」と説明できるでしょう。物事の結果には必ず原因があり、また全てのものは互いに影響し合って結果を生むと言う法則です。

「カルマの法則」は、私達が生きる物質界を支配している偉大な法則です。この法則は、現在二つの理由で理解し易くなっています。一つは人類の知性が発達した事、もう一つは物質の振動率が速まっている為、結果が早く表れる事です。アクションを起こすと、すぐに結果が出易く、人生の結果もその人生で体験できる事が多いので、原因と結果を考え易い時代なのです。

さて、人間にはもう一つ適用されている法則があります。それは「魂の法則」です。魂は全体を愛の引力で繋ぐ世界なので、別名「愛の法則」とも呼ばれ、カルマの法則から自由な世界、魂次元で働いています。これは太陽系を一つにしている宇宙法則で、理知性が発達すると理解できる法則です。私達は魂的な意識に至ると、カルマの法則から自由になり、宇宙法則をこの世で具現するようになります。人類の真の使命は、魂の法則を物質界で表現する事です。

人がより良く生き、進化する為には、この二つの法則を理解する必要があります。しかし、カルマの法則も、魂の法則も、正確に理解する事は、至難の業です。しかし、法則がわからなければ、人はカルマから逃れられず、苦しみます。そこで、わからないなりにも、悪カルマを少なくする為、昔から宗教では「無私の奉仕」を教えています。修身道徳のような教えですが、今この生き方の意義を正しく認識し、自分の意志で実行すると、進化は大きく進みます。今回はその理由を考え、奉仕の重要性を再認識したいと思います。

白と黒のエネルギー

霊から見ると、個人はエネルギー磁場であり、人類はたった三つの範疇に分類されます。それは「灰色」です。様々な人格は千差万別の色彩を放っていますが、カルマの法則から眺めると、全ては白か黒の間に含まれます。

」とは、魂エネルギーが人格の何物にも邪魔されずに表現できる状態を表します。個人的な欲望や利己主義を浄化し支配したので、全ての動機が、全体に奉仕する魂の愛になっています。更に、カルマの法則と魂の法則を理解する理知性が発達している事も条件です。欲望が浄化され、心が綺麗でも、知的識別力が発達していなければ、作用反作用がわからないので、新たなカルマを作り出してしまいます。原因がわかるからこそ、「悪カルマとなる行為」を行わずに済み、効果的に行動できるので、白くなる為には「霊的に」優れた識別力が必要なのです。

欲望を支配する厳しい実践を積み、知的にも高度に発達した魂は、人格が白色に輝いています。これは聖者や覚者が白光や白い服で表現されている理由です。しかし、今の進化レベルから言えば、純白なオーラを持つ人は稀にしか存在しません。

一方「」は完全なる物質主義です。生命の一体性を認めず(あるいは無知)、人格や物質の存在が全てであり、完全な利己主義を貫いている人格です。結果だけを重んじ、同情心も慈悲心も無いので、他の人々の命を尊重する事はありません。だからこそ白色と同様に、完全な黒も稀にしかいません。

そして「灰色」は、数としては最も多い色です。善意はあるものの利己的な思いも持ち、その間で揺れ動く人格です。私達の大多数は、濃淡の差はあっても、「灰色」の範疇におり、命の一体性や善意はありながら、利己的な欲望に振り回され、時々善意を行います。また善意であっても、識別力が無い為に、誤った信念を持ったり、行動が不適切で法則を破り、しばしば悩みを抱える状態です。

さて、「白い人々」は私達の目標です。彼らはカルマの法則を超越し、人類の使命である魂の法則をこの世に適用しています。私達は彼らの生き方や考え方を学び、できるだけ近くなるように実践する事で、白色を増やす事ができます。白色の光は、灰色を構成している黒い点を追い散らし、相殺する事ができるのです。これが「無私の奉仕」を実践する意味であり、悪カルマを相殺する方法です。法則を正確に理解できていなくても、全体に対する無私の奉仕を心がけるだけで、魂の白光が、物質の黒点を相殺できるのです。そして、白の割合が多くなれば魂が働き易くなるので、自然と識別力も高くなっていくでしょう。

愛は悪を癒す

昔から真理の教えは単純なものです。「慈悲を持ち、優しく、そして人を助ける事。感情は穏やかに保つ事」。進化の為に特別な教えがあり、それを知ったら魔法のように変われると信じている人には、これがどんなに効果的な方法か、理解し難いかもしれません。しかし考えてみて下さい。あらゆる場面でこのように振舞い、選択する事は、並大抵の事ではありません。特に強烈な感情を持ち、知性が発達し始めた現代人にとって、この実践は以前にも増して難しい事かもしれません。だからこそ、今、この原点に立ち返る必要があるのです。

我々は完全に白くなれなくても、努力すれば、灰色をより白に近づける事ができます。その為には、悪カルマを相殺する善行為を積極的に行う必要があるのです。「積極的に全体の為になる事をしよう」と心がければ、少なくともその間は、悪を成す時間を止める事ができるでしょう。もし、誤ったとしても、意識的に行った事は、後から検証し、改める事ができます。

この時、動機が何より大事なので、次の要素に気をつけましょう。自分が個人的に愛着(例えば家族や好意を寄せる人など)していない多くの人を対象に奉仕する事、進化を助ける善だと思われる事、救済する要素がある事、自分にとっての欲得が関係ない事、仕事を通じての奉仕なら、最善の努力と工夫を心がける事。これらをよく考え、積極的に行えば、より純度の高い善行為を積む可能性が出てきます。こうなれば、自分が愛の通路になるので、自分自身も真の喜びと学びを得る事になるでしょう。

現代人の人生は、余りにも個人的な要素で忙殺されています。利己的な目的や仕事に夢中になり、勝手な欲望に従った結果、やがて個人的な支払いに追い回され人生が終わります。それをどんなに立派に支払ったところで、個人的なカルマのドラマに過ぎません。そこで、個人的な価値観から、進化に向かう全体への価値観が必要なのです。これが悪カルマを相殺するとても有効な教えなのです。

人の使命は一つ

「私の使命は何でしょうか?」「私は何の為に生きているのでしょうか?」「私の才能は何でしょうか」この個別の答えを知る前に、私達は次の大前提を知る必要があります。人類の命は一体であり、全ての人が「愛の奉仕」を実践する為に生きているのです。この真理に至る為、私達はどんなに忙しく、どんな生活状況であっても、「一条の奉仕」をする時間とエネルギーを捻出しなければなりません。人間には個人的な人生と、公的な魂の人生が必要です。またその二つが、物質の生命と、魂の生命、白と黒の識別を教えてくれます。個人的な力を持つ現代人だからこそ、個人的な人生と同時に、魂的な人生が同時に必要となったのです。

更にその実践が正しくできたなら、自らが癒され、個人のカルマを果たす事が、容易になる事にも気付くでしょう。魂の純粋な愛こそが、生命力の源であり、癒しの原理であり、智恵を与える源流です。一瞬でも自分を捨て、他を愛する事は、癒しであり、知恵を与え、愛の進化を促進します。

また人の才能とは、周囲を助け、人々の進化を考え、その必要に応える過程で表れ易いものです。「才能とは愛の特質」であり、救済する為に、魂が個人に与える力だからです。愛がなく、周囲を救済しない才能は、エネルギーが流れ出る出口がない為、やがて魂の生命はせき止められてしまいます。そうなると、力が枯渇し、自分も周囲も滅びてしまうでしょう。魂の世界では、人類は共に全てを共有し、助け合い、進化している同胞です。これを同様に、この世界にも具現する時が来ています。

優れた魂は、現在様々な地域に点在し、純粋な生命力を周囲に分配する為に活躍しています。その生命力は、形と分野は違っても、等しく智恵に満ち、勇気や希望を与え、強い磁力を持つので、周囲の命を次々に繋いでいきます。その繋がりを通じて、生命の泉はこの世に分配されていくのです。

今、個人の力が発達し、理解が進んだ全ての人は、その流れの一条を担う事が可能です。しかしその為には、自然に任せ、待っているだけでは不充分です。宗教が廃れた今、私達は自らの意志で選択しなければなりません。決意を持って、個人的な人生を一部捨ててでも、意志強く奉仕を行う強さが求められています。人生の素晴らしさ、人間の可能性、生命の豊かさを、魂の法則を通じて知るチャンスです。自分にも、そして人にも、そのチャンスを与えて下さい。

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