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手紙:2018-06-08

知識と理解

本当に考えているか

皆さんは「考える」とはどのような事か「考えた」事がありますか?あるいは自分は「本当に考えている」かどうか、実は考えているつもりで、思考ではなかったのかもしれないと、疑った事はありませんか?

問題が起こり、何故こうなったのか?と問われた時、「私はちゃんと言われた通りにしました。何が悪いんでしょうか?」と言う返事をよく聞きます。反対に、「あの人、こうすればうまくいくのに。いくら言ってもちっとも言う通りにしない」と、イライラする場面もあります。果たして、人の言う通り行動すれば、物事が解決するのでしょうか?

物事の問題の原因は、行動だけにあるのではありません。実は「自分自身で考える」事が不充分な為の理解不足、つまり意識にあるのです。例えばマニュアル通り行動し、その場はうまくいっても、意味を理解していない事は、違う場面で応用がきかずに失敗するでしょう。問題が起こっても、何故そうなったか、検証する事もできません。私達は普段自分でじっくり考えていない為、わかっているつもりで、実は理解していない事が沢山あるのです。

宇宙法則では、愛は意識であり、理解、つまり考える知的な力です。理解していない事は、愛が働いていないので、行動しても、エネルギー的な影響力は少なくなってしまいます。今回は、愛を「自分で考えを深める力」と捉え、その重要性を提唱してみたいと思います。

私達は同じ行動でも、違ったように受け取られ、異なった結果が出る事を経験します。また「私が言っても聞いてもらえないのに、あの人が言うと何故聞き入れられるのか?」と憤慨する事もあります。一体何が違うのでしょうか?言葉はその人の考えや感情が乗っているので、同じように聞こえません。また力のある言葉と無い言葉があります。何故でしょうか。人に何かを感じさせ、動かす力は、言葉や行動の背後にある「意識」から発生しています。その人が自分で考えたり理解しているものは、固有のエネルギーに色づけされていると言う事です。

では、理解した事としていない事とは、実際どう違うのでしょうか。愛は力なので、理解すると、良くも悪くも、知識や経験が、その人の一部に変化を与えます。つまり、知識がその人の一部になっている為、独自の力を発揮し、事態に影響を与えるのです。この意識状態の違いが差となって、私達に感じられ、結果の違いを生み出しています。

たくさん学び、知識通りに行動しても、その人の中に「理解」が生まれていないと、周囲はその人が「変わった」と感じません。また言葉も理解したものでないと、獲得した独自のエネルギーが乗っていないので、力を発揮する事ができないのです。

情報やマニュアルが氾濫し、真理や生き方を学ぶ機会も多いと、あれこれ知識を学び、「では、こうすればいいんですね?」と簡単に結論づけがちですが、そこには「考える」作業が入っていません。理解が疎かで、方法と行動を変えるだけでは、物事に大きな変化を与える事や、自分を変える事ができません。私達は日頃、自分がどの程度考えているか、点検する必要があるでしょう。

愛と化学反応

では、どうしたら知識が理解になるのでしょうか。理解は意識世界でのオリジナル料理に似ています。知識は材料のようなものなので、まずその原理や特質をよく理解し、自分独自の料理法、つまり表現方法を考えてみる事が大事です。次に、実際料理してみる、つまり独自に工夫した表現を実行し、そして結果について考えてみましょう。すると、考える事、実際体験する事で、その人特有の火が生まれ、知識はその人の一部に変わります。考えて表現し、また考える事で火が生まれ、自分を変える真の理解が生まれるのです。

まさに理解は「自分の一部を変化させる事」で生まれます。しかし多くの人は、自分を変える事より、周囲の人や現象を操作する事ばかりに気を取られます。自分の変化を伴わない事は、自分の外で知識がやり取りされているだけで、変化を起こす火が呼び起こされません。また、心のレベルで感覚的に思っている事は、水のように流れてしまう為、変化を起こすだけの力にはなりにくいものです。

知識をその通り実行して、色々な事ができるようになったと言うのは、子供が成長する過程で、自信をつける為に重要です。しかし成長した大人には、真の意味で自分を変える力が必要です。それには、愛ある理解、つまり考える力を訓練し、体験を獲得する事が重要なのです。

宇宙の愛は今も深まっている

愛は異質なもの同士を繋ぐ力です。つまり、自分にわからないものと接触し、交流し、互いに影響を与え合う力です。異質であり、わからないからこそ、その接点には火が生まれるのです。これこそが知性の火であり、「理解」への化学変化です。宇宙は今現在でも、このような交差点を無限に作り、日々世界の「理解」を広げている最中です。愛によって、知識は理解に変わり、理解によって包括が可能になって一つになり、世界の進化が進みます。

宇宙の頭脳が今現在も世界中でこの作業を進めているなら、私達人間も同じような働きをする必要があります。人は、異質なものに出会った時、自然と好奇心や驚き、反発や怒りなどの感情が芽生えるでしょう。この感情的反応によって、まさに自分と異質なものに出会った事がわかるのです。だからこそ、知識と照合して、自分や相手の意識がどうなっているかを発見できます。この感覚的な合図から、今度は知的に観察や探索を始めれば、二つの世界が交錯し出すでしょう。

私達は理解できないものに出会うと、考えるのが面倒なので、無視したり、切り捨てたり、排除しようとしがちです。しかしそこから本当に「考えれば」、火を生み出す事ができるのです。自分の何がぶつかっているのか、今までどう考えていたのか、何故この方法がいいのか?この点を一歩進め、粘り強く、一つ一つ冷静に追求すれば、理解の火が新たな意識を生み出すでしょう。

問題や物事の処理に際して、こうすれば良いと、知識の結びつけだけで処理したり、関係ないから言われた通りにしておけば良いなど、余り考えずに流していると、理解のチャンスを逃してしまいます。私達の思考は、ほんの表面的なレベルで、知識の暗記や単なる方法の適合に過ぎません。もしこれを理解まで進める事ができれば、眼に見えない意識の世界から、強力な愛の火を引き出す事ができるのです。人間は、考える事で霊界から火を取り出す素晴らしいエネルギー装置なのです。

そして考えた事は、まずは自分に適応し実行してみる事で、自分を変化させる事が大事です。それが今までの自分にとって新しいものであればある程、抵抗が起こるので、苦痛や苦労が伴います。この抵抗を乗り越えて訓練する事で、理解は完結し、内的にも外的にも、その人の変化が認められるでしょう。もし自分に力が無いように思われ、周囲からも変化したように認められないなら、この工程のどこかに見逃している作業があるはずです。

わずかであっても、自分で苦闘し掴み取った理解こそ、貴重な進化の一歩です。人と比べる必要はありません。世界に一人しかいない自分を通して、自分にしかできない尊い理解があります。一人一人に小さな火が灯る事で、霊界にまた一つ理解が加わり、世界は進化していくでしょう。

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