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手紙:2019-01-11

自立した愛

消極的な動機

皆さんは自分が人とどのようなコミュニケーション=交流を図っているか、考えた事がありますか?人との交流の仕方や動機、積極性にはその人の「愛の様相」が表れます。「正しい人間関係」は、愛が進化のテーマである現在、非常に重要なものです。愛が完成している人は、誰一人いませんが、私達は自分の人間関係について、考えた事があるでしょうか。あるいは、こんなに努力して学び、働き、奉仕しているのに、ちっとも変わらないと感じる人は、愛に問題があるのではないでしょうか。

日本人は「おもてなし」で有名になったので、世界の中でも愛が発達していると思われがちです。ところが、進化から考えると、一般的に西洋人の方が、愛は発達しています。この違いが分かると、愛の理解と人間関係をどう発展させるべきかがわかってきます。私達は、人間関係の捉え方が情緒的な為に、知的な認識ができないまま、終わっている可能性があります。勿論、相手の感情を汲んで同調する事、同情心、楽しい雰囲気をつくる事は、心の美徳で、良い関係の土台になります。

しかし、動機が「揉めたくない、怒らせたくない」と言う防衛本能や、優しさや楽しさだけを大事にしているなら、愛の発展には不充分です。また仕事で冷静に人と付き合っていても、目的主体となって、全く愛の訓練になっていない事が多々あります。そこで今回は、知的な愛の関係を一歩踏み込んで考え、人間関係を十分に活用できる愛のあり方を考えていこうと思います。

太陽は愛の象徴

太陽は、愛が物質化した天体です。太陽の働きと特質を知ると、愛の性質を垣間見る事ができます。太陽が輝く時、その光を浴びる私達には、太陽の物質的な愛が届いています。光に照らされると、体も意識も活性化され、生きようとする気持ちや活力が湧いてきます。その時、私達は太陽の磁力に直接触れているのです。同時に魂的には、太陽は積極的に太陽系の存在を探り、その生命のデータを集め、進化に沿ってエネルギーを与え、意識を発達させようとしています。太陽は抱えている全存在の正確な情報を、絶えず刻々と集めているのです。

太陽のように全存在を養育する事は至難の業ですが、私達は家庭をはじめ、出会った周囲の人を、少なくとも「積極的に知り理解する事」「勇気づけ、活性化する事」ができます。これは我々の愛のテーマであり重要な課題です。何故なら「存在価値を理解する事」が、愛の交流となり、相互に影響を与え合い、相手も自分も変えていくからです。

何を好み、どんな喜びや悲しみを背負っているのか、今どんな事を考え、望んでいるのか?一体どのような才能を持っているのか。このような情報は、仕事の目的や自分の好みと関係なく、積極的に知ろうとすれば、知る事ができるはずです。これらは、その人の存在価値を理解し、認める為の入り口になります。愛の発達には、自分で繋がり、情報を得て、自力で考える知的能力を養う必要があるのです。

しかし、人は家族や仕事で組む重要な人でさえ、一旦一つの印象が決まってしまうと、改めて話し合ったり、積極的に観察し、話を聞く事は少ないものです。これでは、相手が変化していても、気づきません。意識が積極的に向き合っていなければ、揉めていなくても関係は薄れていき、創造的な関係が築けません。関係が無ければ、愛は育たず、進化や創造は生まれないので、実はエネルギー的には、何も変化が起きていないのです。相手には踏み込まず、揉め事を起こさない、一方だけが支配して成り立っているなどの消極的な関係は、現在の世界には不釣合いです。新しい魂が沢山生まれ、世界が交流するようになった今、愛を生み出す事は難しいでしょう。

感情とプライド

愛は、本来太陽の光のように、どこにでも誰にでも届くものです。ところが壁があると、光は遮断されてしまいます。私達に魂の愛が届かない、あるいは人と交流ができないのは、そこに何らかの壁があるからです。その中でも「勝手な感情」や「偏ったプライド」は、愛を分断する最大の「壁」になります。

感情がいかに関係を阻害するかは、人の様子を見ているとよくわかります。ところが自分の感情は、自分にとっては自然なものなので、特殊で偏っている事に気づきにくいものです。感情的になっても、自分には正当な理由があり、周囲が変だと断定し、何の疑問も持たない場合さえあります。

これを発見する為には、仕事は勿論、立場が全く違う関係を求める事や、苦手な事や初めての事に挑戦してみる必要があります。その中で、自分とは違う対処をする人を観察したり、比較検討する事、問題が起きた時の自分の反応を眺める事で、障壁となる感情を発見する事ができます。

一方「プライド」は知的な自意識です。感情的な好き嫌いと間違え易いですが、プライドの壁は「快・不快」に象徴されます。つまりプライドが満足するかしないか、勝手な美醜の独断、認められるか無視されるか、支配できるかどうか、価値の有無、目的に対する損得などの、知性と感情を総合して「快・不快」が判断されるのです。

自分の考え方、正義、美意識、才能の価値や優劣などの狭い基準は、合わないものに対して、無関心あるいは敵対し、反発や排除、攻撃となります。自分の野心、目的、仕事に集中し過ぎると、そこに存在する人間の価値を知り、考える余裕や理解が無くなってしまいます。現代社会では、仕事はできるけれども、次々と目的を達成するだけで、愛を学ぶ機会を失っている人は多いものです。

愛は相互に影響を与える

人は存在価値を理解した瞬間、どんな人からも、良い影響を受けて自分が変わるものです。それが理解の力であり、魂の知的な愛の表れなのです。ところがプライドが高いと、人に影響されて自分が変わる事は、好ましくありません。また自分が変わる事自体が、傷ついたり面倒だと感じる事もあるでしょう。そんな事を考えていたら、時間がかかって仕事が進まないなど、様々な理由から、人とは本質が触れないよう距離を置くことが習慣になっています。しかし、本来人間の進化にとって、この意味の方が重要な事なのです。

さて、壁がどんなものであれ、自分でつくった壁は、自分で気づき、乗り越えなければなりません。それは今ある環境の中で発見し、実行できる事の一つです。このたった一つの変化から、何もかもが変わる可能性があります。何故なら愛こそが、全ての存在を活性化し、進化させる力だからです。人は自分ではなく、人を変えようとしますが、反対です。自分自身が愛を高め、変化できれば、周囲を変える事ができるのです。

太陽は、全ての存在に神が宿っている価値あるものだと知っているから、愛を注ぐのです。ですから、私達も太陽のように、地上で互いの価値を理解し、認め合い、互いを高め合う必要があります。その一歩は、人ではなく、自分から愛を表現する為に歩み出すべきです。この実行には、何より精神的な強さが必要になるでしょう。人の自立とは、自らの壁を越えて人を知ろうとする関係の社会性に表れます。自分の脚で歩き、心を開き、必要な事を知り、意味を素直に受け入れ、自分を変える努力をする、この姿勢が人を強くします。自分の小さな価値観を捨て、壁を打ち破るのは、愛の強さなのです。

この経験を、自立して会得し、愛の大切さを理解した人は、名声を得るより、お金を持つより、遥かに重要な力を得るでしょう。それは人類の宝となり、死んでも失われる事がありません。「私は人とどう付き合っているか?」一人一人が永遠に輝く太陽になる為に、関係を見直し、改善すべき点を発見して下さい。

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