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手紙:2024-06-28

周期の岐路

事態の背後にあるもの

世界を巻き込んだ新型コロナウィルスの蔓延。そして二つの戦争。戦争は現在も進行中ですが、大きな危機は去り、その影響を忘れつつある人も多いでしょう。私達は危機の後の周期に向かっていますが、だからこそ、今その原因や変化について、深く考えるべき時期にきています。世界大戦やパンデミックなど、このような世界規模の出来事は、地球の頭脳であるシャンバラの決定が関係しています。古代アトランティス文明は、たった三日間で大陸が沈み、滅亡しました。過去の世界大戦も、ある小さな出来事から始まり、大破壊となりました。一つの小さな変化から、突然世界を一変させる事態、これは地球の意志が、進化の周期に合わせて、古いものを壊し、その質料の生命を引き上げる時に起こる現象です。この周期の入れ替わりには、どんな力を持った人も、誰一人抵抗する事はできません。

今回の対象は、自然界ではなく人類です。私達は未だに真の原因を理解していませんが、このような事態は、突然起こる訳ではありません。実は予兆や警告は、様々な形で与えられてきたのですが、人間が気付かなかっただけなのです。人は自分の欲望に夢中な為、進化を示唆する魂や地球の意図に、余り意識を向ける事がありません。その為、被害に遭った時、真の原因を理解できずに、ただ恐れ、苦しむ事になるのです。

さて、このような特殊な出来事には、必ず学ぶべき教訓と密教的な意味が隠されています。今だからこそ、辛い思いをした現象面だけに囚われず、進化の方向、そして真意とは何か、密教的な観点から、意味を考察してみましょう。

肉体の限界を超える

今、日本は観光ブーム、世界中の人が自由に行き交っていますが、感染が始まった時の行動制限は、大変辛いものでした。実際に会い、互いに触れ、その感覚で楽しさや生きる実感を得る交流は、人間の基本とも言えるので、得られないと不安が起こり、相当の我慢が必要でした。しかし、中には気を遣わなくて済むから、ホッとしたと言う人もいます。行動制限では、肉体の欲求や行動が制限を受け、そこに密着している心が苦しみを感じました。肉体的本能や活動に主体を置いていると、行動制限は、猛烈な抵抗と抑圧を覚えます。私達の意識は、とても物質的な意識で満たされていたのでしょう。

一方で、距離に制約を受けず、活発になったのが、インターネットを主体とする交流です。この繋がりは、新しい時代が活用する知的交流の土台となります。ネットの交流が知性を表している訳ではなく、一つの技術に過ぎませんが、目で見て耳で聞く事に集中し、情報を理解する事は、知的テレパシーの基本になります。また、知力は肉体や心より、遥かに回転速度が速く、時間や距離、場所の制限を受けません。私達は、暫く肉体的な活動を鎮め、今までの感覚を離れて、交流や活動の新しい側面に慣れる必要があったのです。

オンラインによる交流は、情緒が薄い情報が主流になるので、情報を元に、論理、関連、それらの情報から推論や原因の追究など、知力に重きを置く練習になります。このような交流が始まり、差を考えると、私達はいかに感覚的、情緒的、肉体的な意識に重きを置いていたかがわかります。最初は慣れず、不安になったり、不満を抱き、混乱するものです。情緒や感覚を否定する訳ではありませんが、この強いられた変化は、意識の焦点が知性にシフトする事を表します。

ウィスルの蔓延と欲望

知性のもう一つの重要な役割は、欲望を認識し、支配して自己統一する事です。新型コロナウィルスは、欲望や本能を自覚せず、考える事もなく、習慣的に行動していると、感染予防ができず、恐ろしい勢いで広がっていきました。私達は日常の一つ一つを、意識して自覚しながら、自分を支配して行動する練習を始めたのです。

欲望や本能を自覚し、決めた通りに行動させるのは、知性の力です。知力が働かないと、感染予防の方法が理解できない、その理由がわからない為、正しい行動を取る事ができません。また、自分と公的な社会との関係性が理解できないので、私には関係ないと思い、周囲の人への影響を考えられず、理解しようとする意志も働かないでしょう。知性は決めた通りに持続して、同じ行動を取る力があります。覚えられない、すぐに忘れて感覚的な行動を取ってしまうのは、訓練が足りず、知性が支配していない時に起こります。

世界各国で起こったように、油断して元の行動に戻ると、未だに感染者が増えています。この点も、欲望と知性の関係に似ています。知性は欲望を支配して、最後には「変容」させる使命があります。元に戻ると言うのは、欲望を抑えつけ、我慢していただけで、知性が弱まると、また感覚的になり、元の状態に戻ったり、欲望に突き動かされて同じ行動に戻ってしまいます。

一定期間、決めた通りに行動し、欲望の質を変えるまでやり切れば、最後は支配する必要がなくなり、欲望の変容が完成します。つまり、私達が我慢した意味は、欲望や本能の支配と、社会的な関係性への理解なのです。パンデミックにより、知性による自己支配で、自分の中に一部でも変容が起こったかどうかに、意味があるでしょう。

変容と美徳

今後、ウィルスの蔓延が収まり、特効薬やワクチンが開発された時、世界はどうなっているでしょうか。一つの懸念は、敵対心や攻撃性が強まって、国の対立に発展し、その意識の総計が、戦争に繋がってしまう事(実際そうなってしまいましたが)です。私達は今回の出来事で、人類としての平等な命の大切さを実感したはずです。命は人類という一つのグループ内で、考えている以上に繋がっているのです。

ところが、分離的で攻撃的な意識に固執すると、人類は世界大戦に突入する危険があります。パンデミックの収束だけで、まだ安心はできないのです。愛を取るか、分離を取るか、この数年で、人類は最終的な試しを受けるでしょう。

もし、人類の一定数の人々が、欲望の変容に成功し、価値観が愛=命の繋がりへと変わっていたら、世界は新しい文化の流れに乗り、未来は続くでしょう。人類の生命だけでなく、自然界の命の尊さにも気付く必要があります。私達は、飲食をはじめ、欲望の為に自然界の命を使い過ぎました。一つの危機が去った時、人類の欲望の質が高まっているか、新たな危機に突入するか、人類として、注意深く見守り続ける責任があるでしょう。多くの人が、知性を愛に捧げるなら、分離は広がらず、人類は魂の望む次の文化を築き始めるはずです。

大事な事は、失敗や危険な出来事から、いかに美徳を引き出すかです。徳とは、無秩序で勝手な欲望を支配し、愛の為に秩序立てて支配する品性です。これこそが、辛く厳しい出来事の先に、光輝く美徳となるでしょう。

新しい文化

今回の特異な出来事は、私達の「意識」を明確に変える歴史的な転機です。このような巧妙な現象を引き起こし、人類の意識に変化を迫る地球の頭脳、そして魂の愛には、圧倒されるばかりです。その偉大な頭脳と、緻密な計算、そして進化を示唆する愛の存在には、敬意をもってひざまずく他ありません。

私達人類は、常に見守られ、指導され、導かれています。辛さや苦しみは、過去の意識が、愛の法則や進化の方向に、どこか合わなかった事を示しています。何故苦しみがあるのか、何がいけなかったのかを、落ち着いて考え、理解した事から、自分と周囲を改善すれば、人類は確実に洗練されていくでしょう。

私達はウィルスに勝つだけでなく、自分自身の欲望に勝つ必要がありました。希望を見失う程苦しみを味わった人達、犠牲になって命を落とした人達を含め、これからは無数の美徳が光となって輝くでしょう。次の百年で、命を基調とした愛が確実に広がるように、私達が危機から学んだ事を一つ一つ実行していきたいものです。皆さんの美徳が、新しい文化を作っていくでしょう。

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