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手 紙
手紙:2025-08-22
新時代のグループ活動
グループでの成功の鍵
今、私達は愛の時代に生きています。しかし、その時代は始まったばかりで、人は愛が何かよくわかっていません。その糸口を掴むにあたり、グループワークに関する次のような実験がありました。
進化生物学者のウィリアム・ムーア氏が、鶏を2つのグループに分け、一つは平均的な群れ、もう一つは生産性が高いスーパーチキンばかりを集めて、これらを六世代に渡って飼いました。六世代後に何が起こったでしょうか。平均的な群れは、普通に生き延びていましたが、スーパーチキンの群れは、お互いをつついて殺し合いになり、たった三羽しか残らなかったのです。
この実験からヒントを得たMIT(大学)は、人間でもグループを分けて目的を与え、その達成度を見る実験をしました。最も成功したのは、知能が高い優秀な人達がいたグループではなく、社会的感受性の高い人達が集まったグループでした。社会的感受性とは、眼の奥の心を読む力、共感し相手を理解する力です。更に、女性が多いグループは、成功度が高かったと言います。このような仲間では、お互いに話し合いが良くでき、グループ自身の力から、優れた意見や発案が生まれ、協力して良い結果が出せたのです。
これらの実験結果には、霊的進化の方向が表れています。以前の進化では、才能あるヒーローのような傑出した人が、集団を支配しました。しかし、現在は愛の時代を迎え、関係性がグループワークへと変化しています。私達は、古い印象を刷新し、考えを新たにする必要があるのです。
今回は、グループワークを通じて、私達が目指すべき愛の方向を考えてみたいと思います。
グループ全体の力
フランスでも同じような実験があり、A=自己主張が強く才能ある子供の集団と、B=平均的な子供の集団で、小さな家を建てる目的を与えました。Aは意見が合わずに揉め、家は建たず、Bは自ずとリーダーが決まり、時間内に家が完成しました。Aは、目的より、誰がリーダーになるか、各自の主張で関係がこじれ、バラバラ状態のまま終わりになったのです。先述の大学の実験で、優秀な人達の集団では、「攻撃性、機能不全、勝つ為の無駄な行動」により、目的が達成できないと分析されましたが、子供の中でも結果は同じでした。
何故このような事が起こるのか、理由は大きく二つ挙げられます。一つは、霊的進化のエネルギーが、個人ではなく、グループに流入する愛が主流になった事。二つ目は、一般人の知性が発達し、レベルが上がっている事です。時代が変わった事で、突出して優秀でなくても、グループとして団結すると、その焦点に高いエネルギーが降りてくる為に、全体が刺激を受けて、個々を超えた力が引き出せる仕組みです。
魂は、以前知性の高い傑出した人を育てました。現在、物質界で活躍する力のある人々は、以前の時代に進化した特別な存在で、過去の時代をリードしてきたと言えます。彼らは、生来の知性が高く、自分が優秀だと知っています。そのような人達は、実際、明らかに成功を収めます。同時に、自分がリーダーとして君臨した記憶もあるので、支配的で自分は人と違うと言う分離意識も持っています。
私達もその時代を生きてきた為、成功とは、人に勝ち、認められる存在となって、周囲を支配する構図を思い浮かべるでしょう。ところが、この理想は時代遅れになり、古い印象を捨てなければ、社会は発展できなくなったのです。
健全なハート
愛の時代と呼ばれる現在、面白い事に、一般市民の方が、愛に敏感な「健全なハート」を持っています。優秀でも、単独で行動し、グループワークをしない人達には、魂は興味を持たないとまで言われているのです。知的才能やある種の力を持っている人は、プライドが高い為、自己主張と優劣にこだわり、時には自分こそが愛を理解していると思い込んでいます。
しかし、真に愛に敏感なハートは、自分のプライドもありますが、多くの人の福利や全体の為になる目的を優先できます。愛とは、個人に向ける愛情や尊敬ではなく、多くの人が進むべき善意の方向です。その為、たとえ利己的な思いが心に浮かんだとしても、それを一旦差し控え、グループ全体、人類全体の福利を優先させて努力できるのです。
また、企業でも、コーヒーブレイクを取り入れて、社員に自由な会話と交流を促進したところ、お互いが知り合い、理解し合うチャンスが増えて、効率や業績が上がると言うデータが出ています。競争意識が強くなると、人の会話の動機は、利己的な目的になります。優劣をつける為の情報収集、偏った関心、自分の意図に相手をはめようとするなどです。
ところが、愛に敏感な人は、近況、過去、相手が話したい事などから、相手の状況を理解し、優劣なしに、意見を交換する事ができます。良し悪しの判断ではなく、人をより深く知る為に、質問し、会話も弾むでしょう。その交流から、平等な立場と信頼の絆が生まれ、グループとしての結束が築かれていきます。つまり、二者は、会話の動機が違うのです。現在、魂はグループの中で人が成長する愛の方向を促進しています。
知的な積極性へ
日本の国民は、戦時中、国の利益を優先し、犠牲を払った事から、方向は明らかに誤っていたものの、グループ化する特殊能力を身につけました。しかし、個々の知性が確立する前に、心を犠牲にして結束する力を手にしたので、善悪の判断ができず、悪用された過去があります。
では、その後の世界に生きる私達に、必要な事は何でしょうか。日本人は、心で一致する歴史に慣れている為、違いを認める事に消極的です。まず、個人個人の意見を持ち、違いを明確に認識する知性を確立する必要があるでしょう。その上で、一つに融合する為には、違いを知りながら、協力できる事を証明しなければなりません。どちらも積極性が必要で、心が受動したものを、知性で考え、行動に移す勇気が大事です。グループワークには、実験的マインドが必要です。そして、衝突や失敗を恐れて、物事をあやふやなままにしたり、話し合いを避けてはいけません。
愛がいかに理解しにくいかは、私達だけの問題ではありません。最近、世界で活躍する才能ある人の言動にも、その難しさは表れています。力があり頭が良いはずなのに、多くの人が首を傾げ、好まない方向を押し付けている事、また、政治家の多くは、国民の求めている事や、進むべき新しい方向がわかっていません。
個人が持つ優秀な知性は、必ずしも愛を理解できる訳ではありません。知性が高くても愛に欠ける人は、考える視点を変えない限り、古い世界の印象から抜け出る事は難しく、やがてグループ活動に進む平凡な人の進化に追い抜かれていくでしょう。この現象から、愛とは何か、グループ活動の糸口が理解できるかもしれません。
全体の中の一人
新しい時代を迎え、多種多様な経験を積んだ魂が、続々と世界に生まれ変わってきます。どの国も、古い形態をそのまま維持する事は出来ず、どんな人も、地球が求める愛の方向性に逆らって進化する事はできません。これからの世界を生きる私達には、「全体の中の一人」と言う大きな視点が必要です。これは地球原理の一つです。将来、この原理は、愛によって成熟した大人なら、誰でもわかる常識となるでしょう。
私達は、優秀であっても、優秀でなくても、地球生命の一部です。たとえ人から認められていないような気がしても、地球に必要とされて生きているのが全ての人類です。肉体の健康が、全細胞の活性化、役割分担、交流で成り立つように、私達も地球の健康に貢献できるよう生き方を刷新しましょう。それには、「愛とは何かわからないけれど、未知なる方向を共に目指そう」と言う謙虚な態度が必要です。地球の求める方向を模索し、愛の実験に挑戦するなら、私達は新しい生命によって、一層輝く事ができるはずです。人類の団結する力が、利己的な古い世界を制圧し、未来を切り開いていくよう、新たな努力を始めましょう。