Planet and Ray
惑星と光線
惑星と光線 | 2018-06-22
地球 その② 「水の惑星」
皆さんは「惑星ソラリス」と言うSFを知っていますか?小説から二度映画化されたとても面白い話です。惑星ソラリスに到着した宇宙船から救難信号が出され、主人公が調査に行きます。その惑星では人の欲望や妄想、無意識の思いが現実化し、本人に付きまといます。虚像は、過去の記憶や願い、頭から離れない人や現象でできていて、現実ではありません。虚像なので、絶対に死なない、無くならない、繰り返されるので、最後は発狂したり、虚構の世界にのみ込まれてしまいます。この話は、まさに地球の特徴を、象徴的に表しています。
地球は水の惑星。生命は水の中から生まれたと言われているので、科学者は他の生命体を探す為、水のある惑星を探索しています。では密教的に水とは何を表すのでしょうか。水は欲望の象徴です。欲望と言うと人間の良からぬ思いを想像しますが、欲望は人間から地球の神、太陽系の神まで、高低様々なレベルがあります。神の欲望は偉大な進化のアイディアを実現する事ですが、人間には二つの欲望があります。自分の勝手な欲望と、神の計画と進化に協力しようとする善意や高度な欲望です。どちらも水の中から形になって、生命体や現象が生まれます。神も人間も、水と言う欲望から、あらゆるものを生み出すのです。
では、神は最高の力があるのですから、すぐに夢を実現して、地上の楽園を創造したらいいのではないか。皆さんそう思われるでしょう。ところが、地球の神は「激情の神」と言われていて、欲望が激しい性質を帯びています。地球自身、欲望が激しく活動しすぎるので、支配して望み通りの世界を創造するのが難しいのです。自分の子供が暴れ回り、コントロールできない親と同じでしょうか。
そこで、神に似せて創られた私達人間も、同じように「激情に満ちた欲望」を持っています。感情が激しく、勝手に暴れまわり、自分で本当に望んでいるかどうかわからないまま、欲望がつくった映像や感覚に取り付かれてしまいます。そうすると「水に溺れて」、魂の知性や神の意志が死んでしまうのです。昔から国を治める君主は、「水を制する者は、国を制す」と言われ、治水は重要な事業でした。国は度々河の氾濫、津波、あるいは渇水に見舞われ、興亡を繰り返してきたのです。今でも水を確保し、河を整備し、下水道を作って水を分配する事は、国が栄える基本です。また、水の汚染は公害の代表で、自然界と人間の健康に直接被害を与えます。人間が自分勝手な欲望を追求すると、欲望を象徴する水は汚染され、破壊的に荒れ狂い、元々の美しい生命の水は汚されてしまうのです。
地球の神が苦労しているのですから、私達人間が強い欲望から失敗し、激情に振り回されるのも、当然の事なのかもしれません。それでも神が挑戦しているなら、私達人間も小さな神ですから、同じテーマに挑戦しなければなりません。神は無数の命が持つバラバラな欲望の片鱗を繋いで、進化させる目的があります。私達人間は自分を訓練する事で、それに協力できるのです。自分の感情を制して、神に協力するか、勝手に使って水に溺れるか、私達は日々どちらかを選んで人生を行き続けているのです。
太陽系の中で、「激情に満ちた」荒々しい欲望を支配する場所、それが地球です。水を浄化し、透明で穏やかに保ち、光を映しだす鏡にする事で、地球は輝きます。水を制する人間の使命、とても大変ですが、何よりも大切なものです。お互い頑張りましょう。