Planet and Ray
惑星と光線
惑星と光線 | 2019-10-26
水星 その② 「目覚めたクンダリーニ」
水星の別名は「目覚めたクンダリーニ」です。クンダリーニとは、物質の中に眠っている神の生命で、これが頭上まで上昇すると、人は並外れた生命力と知性を手に入れると言われています。その象徴で、ギリシャ神話のヘルメスは、2匹の蛇が巻き付いた杖を持っています。水星自身は完全なメンタル的惑星なので、クンダリーニは覚醒しています。この威力について、次のようなギリシャ神話の話があります。
ヘルメスは、生まれてすぐ太陽神アポロンが所有する50頭の牛を盗みました。アポロンは怒って犯人を捜しますが、中々見つかりません。何故なら、ヘルメスは足跡がつかない靴を履き、牛をロープで繋いで後ろ向きに歩かせ、途中で会った老人を買収するなど、追跡ができないように巧妙な細工をしたからです。
そこでアポロンは、占い師に犯人を特定させ、ゼウスにヘルメスの事を訴えました。呼び出されたヘルメスは、亀の甲羅に盗んだ牛の腸の糸7本を張った竪琴を弾いていました。すると、アポロンはその音色が大層気に入り、竪琴と牛を交換し、ヘルメスを許す事にしたのです。
アポロンは何故ヘルメスの竪琴が気に入ったのでしょうか。水星は完全なメンタルを持つ星なので、太陽系の7光線を全て扱う事ができます。亀の甲羅は物質、人間で言えば人格を表します。7本の牛の腸の糸は、欲望を持った7つの光線=蛇ですが、高度な知性を持つヘルメスは、曲を奏でるように、物質界の全光線を自由自在に扱えるのです。太陽神アポロンは、太陽系を支配する為、光線を操るヘルメスの知性が必要だったのです。
アポロンは、ヘルメスを伝達者にする為、占星術を教えました。実際、占星学でも、水星は太陽の代理人と呼ばれ、太陽の仕事を助ける為に、時空を越えて各惑星と交流しています。
さて、全ての物質には、クンダリーニと呼ばれる神の生命が眠っています。通常は不活発で眠ったままの状態です。進化とは、その生命の火を目覚めさせ、上昇させる事です。水星は、クンダリーニを覚醒させ、太陽の方向に上昇させる手助けをしているのです。これが前回説明した「黄色い成熟」の意味です。
また、ヘルメスの杖には、次のようなエピソードがあります。杖は元々アポロンからもらったもので、蛇は巻き付いていませんでした。ある時、道を歩いていると、2匹の蛇が争っていたので、その間に杖を置くと、蛇が巻き付いて離れられなくなり、ヘルメスの杖となったと言われています。この話は象徴的で、地球の進化を物語っています。地球は、勝手な欲望を持ち、方向を失ったクンダリーニが地上を渦巻いています。そこに方向を与え、立ち上らせると、蛇が杖に巻き付いたように上昇し、進化していくのです。
水星は、優れた知性と際立った速さを持つ為、その影響を受けると、進化は急速に早められます。ヘルメスは、ヘラクレスに剣を与え、メデゥーサと闘ったペルセウスにも羽のはえた靴を授けています。どちらも密教的に見ると、クンダリーニの上昇を手助けしています。ヘルメスに接すると、数学、天文学、音楽など、あらゆる分野でインスピレーションを受け、知性が覚醒して、力を得るのです。
太陽の仕事は、測り知れない愛と意志による太陽系の支配です。その偉大な太陽が、代理人として必要とするのですから、水星がいかに発達した惑星なのかがわかります。水星は、全惑星の生命力を活性化し、知性へと変換する術を持っています。それこそが、蛇の上昇、意志であり、力なのです。